曲田城　谷之城　谷野城　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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曲田城　（谷之城）

おすすめ評価

訪城季節３　遺構状態３　探し易さ５　交通利便５　体力消耗５　歴史経緯３　印象２　総合２６

所在地

埼玉県深谷市谷之、曲田

歴史と沿革

■ 16世紀半ば頃に本城深谷城の西北の守りとして「伊勢方仮城」を改修
　深谷上杉氏は１４世紀後半に、庁鼻和（こばなわ）に城を構えた上杉憲英（のりふさ）に始まります。始祖である憲英は、上野国守護、蔵人大夫、奥州管領などに任ぜられ、河越氏や高坂氏を中心とする平一揆の討伐や上野国の南朝方新田一族の平定になど活躍したとのことです。その後、憲光、憲信と３代にわたり庁鼻和を本拠地としましたが、康正２年（1456年）第４代の房憲の時、より防御性の高い深谷城を築城して移り住みましたが、その際に一時的に築いたと伝えられている城が伊勢方仮城（上杉仮城）であろうと推定されています。
　深谷市の資料などによれば、深谷上杉氏の家老の一人岡谷加賀守香丹は深谷城の北方にある皿沼の城主でしたが、おそらく香丹の死去したとされる元亀元年（1570年）以前に、香丹の隠居により長子清英に皿沼城を譲り、この伊勢方仮城を一部改修して岡谷加賀守香丹の居城あるいは隠居所としたと推定されているようです。関東の勢力図が上野、武蔵北部が本家の管領上杉氏の支配下にある天文21年（1552年）以前の築城とは考えにくいので、主家の上杉氏が北条氏康と戦い敗北し深谷上杉氏が後北条氏に降った以降の築城と考えるべきでしょうか。
　また岡谷家譜によれば天正18年（1590年）の秀吉の関東進攻の時には岡谷氏の家臣小内外記之助が当地を守備していたと伝えられています。

確認できる遺構

堀跡？

構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■「新編武蔵風土記稿」などに示されている伝承によれば深谷上杉氏が庁鼻和城から深谷城に本拠を移す際に一時的に築いたとされる伊勢方仮城（上杉仮城）の一部を改修して岡谷氏の居城としたもののようですが、部分的にかつての堀跡と思われるような用水路などが周辺に見られるだけの水田の中の平坦地です。
　城跡は旧谷之村構ノ内と一部曲田村に所在し、深谷城の西北の方角を守る支城という位置関係にあります。
　なお、「曲田」の読み方は地元では「まがった」と読むそうですが、「武蔵郡村誌」「角川日本地名辞書⑪」などでは「まがりた」と記されています。なお、深谷市担当課に伺ったところでは「まがった」というそうで、どうやらこの読み方が正しいようです。

参考資料、古文書、
記録

「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「埼玉県史　通史編２中世」(1988/埼玉県)
「埼玉県史　別編４年表・系図」(1991/埼玉県)
「新編武蔵風土記稿」(1981/雄山閣)
「埋蔵文化財発掘調査報告書第59集　庁鼻和城跡　第４次」（1999/深谷市教育委員会）
「深谷市の文化財」（1974/深谷市教育委員会）
「目で見る深谷の歴史」（1981/深谷市教育委員会）
「深谷市史　追補編」（1980/深谷市）
「深谷市のＨＰ」
「角川日本地名辞書　11　埼玉県」（1980/角川書店）　　　　

文化財指定

無

訪城年月日

2005/06/27、2005/07/11

訪城の記録

（　2005/06/27　）
■ご葬儀の準備の真っ最中で
　深谷上杉氏の重臣岡谷氏の居城の一つであるらしいのですが、城跡とされる曹洞宗皎心寺の周辺には堀跡のようにも思える道路など以外には遺構らしきものは見ることはできませんでした。おまけに葬儀の準備のため境内は慌しく関係者の方々が慌しく動き回り、加えて城跡めぐりのいでたちは明らかにこの場にはそぐわない風体でした。このためこの日は境内の中には入らずに心残りではありましたが、取りあえずは周辺の光景と山門の辺りを撮影して退去しました。寺の周辺にはかつての堀跡のようにも思える用水路や道路が所在するだけで、殆ど遺構の確認できないような状態ですが、歴史・伝承などの関係からか城名だけは矢鱈にいくつもあって頭が混乱してくるぐらい実に賑やかです(^^;

（　2005/07/11　）
■谷之城、谷野城、上杉仮城、伊勢方仮城とも呼ばれるのでややこしい
　前回は葬儀準備中のため境内への立入りを遠慮したことと、城跡の位置の確認などの問題があったので再訪を。この城跡は全体としてみると「伊勢方仮城」などともいわれ「新編武蔵風土記稿」「埼玉の中世城館跡」などで旧伊勢方村に所在することになっています。しかし、説明版そのものは旧谷之村に所在する皎心寺境内にあり、曲田城跡としています。しかし、旧曲田村には曲田城そのものは所在せず桜田馬場と呼ばれる別の遺構が所在し非常にややこしい状態です。そのあたりの事情がよく分からず、何はともあれ再度現地確認ということで。さて、曲田城の下地となったと推定される「伊勢方仮城」については、旧伊勢方村の集落の北側には現在も堀跡らしき用水路が残され、しかも西側はまさに「曲田」ともいうべき水田地形が現在も確認できます。しかし、残念ながら今のところこれらのことを十分に整理するだけの知識と情報を持ち合わせてはいません。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　「新編武蔵風土記稿」や「武蔵国郡村誌」の谷之（谷野）村の記述によれば、大永６年（年）に深谷城主深谷上杉氏の家臣岡谷加賀守香丹が、剃髪し仏門に入り「皎心」と号して創建したと伝わっている曹洞宗岡谷山皎心寺本堂。
　この場所が旧伊勢方仮城の一部を改修して岡谷加賀守香丹が築城したとされる曲田城の中心部分らしいのですが。
　(　2005/07/11　撮影　曇　)

交通アクセス

・ＪＲ深谷駅より徒歩３０分　MapFan Web の案内図です　　

（　2005/06/27　2005/07/11　撮影　）

■岡谷加賀守香丹が植えたと伝えられる槙の老木　（　たぶん右側　）　と深谷上杉顕彰会方々が設置した曲田城の説明版。　※　画像クリックで説明版の文字が拡大されます。

■山門前に所在する開基・城主と伝わる「岡谷皎心」に因んだ「岡谷山皎心寺」の山号の刻まれた石柱と近世の石仏など。

■東西方向に伸びる北側の内堀跡のような感じがしますが。

■皎心寺山門。


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