北浅羽館

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	北浅羽館
関連ページリンク	2004/11/22の日記大塚館　大河原氏館　堀込の城跡　大法寺館　三福寺陣城　善能寺館　長岡氏館
所在地	埼玉県坂戸市北浅羽地家193付近
歴史と沿革	鎌倉期の児玉党淺羽氏本流の館跡で、万福寺の境内を中心とした一角にあったものと考えられている。そう広くはない境内の隅に徳治２年(1307年)造立の浅羽行成供養板碑(埼玉県指定有形文化財　考古資料　昭和４０年３月１６日指定　地上高220cm、幅80cm)がある。「新編武蔵風土記稿」に記されているように、「此碑近き頃まで用水溝の梁に用いて有りしを見出して爰に移し建てり」とあり元々の所在地は浅羽行成の墓地にあったものが、いつしか用水路の梁の代用にされていたが、江戸時代の末期までには境内に移されたらしい。「坂戸市史」「中世の坂戸」などによれば、永く梁として利用されていたために碑面が磨耗して判読困難な部分もあるという。平安時代末期にこの地に来住し長岡、粟生田、大河原、小見野氏らを派生させた浅羽氏の祖行成と一族を供養するため建立したものと思われ、鎌倉中期には得宗御内人として勢力があったとのことである。浅羽氏は南北朝時代には北朝方として関城(茨城県関城町)、大宝城(茨城県下妻市)の攻略にかかわっている。永享の乱(1438年)では、鎌倉公方足利持氏方に加わったが敗戦のため、持氏の家臣らとともに浅羽下総守が相模の称名寺で自害したという記録が残り、次第にその勢力は衰退していった模様である。
確認できる遺構	無
構造的特徴および周辺の地理的特徴	毛呂台地の北側の先端部分にあたり現在では北側約100ｍの距離を越辺川が流れている。台地の先端とはいってもほとんど平坦地で周辺に水田が広がる地域である。また一族の長岡氏館跡は南西約1kmの距離にある。
参考資料、古文書、記録	「坂戸市史」(1992年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸の歴史--坂戸市文化財ガイド」(1992年坂戸市教育委員会編集発行) 「坂戸市史--中世資料編1」(1987年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１号」(1978/坂戸市教育委員会発行) 「中世の坂戸」（1996年坂戸市教育委員会編集発行）「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１５号」（1989年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）「坂戸市史中世資料編Ⅱ」（1980年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）
文化財指定	無
訪城年月日	2004/11/22

訪城の記録	<<2004/11/22>>　浅羽氏の祖先浅羽行成の供養の板碑以外には館跡としての痕跡はまったく無いのです。この板碑があってはじめてこの地が浅羽氏の発祥の地であることを示すのみという訳です。小さい子どもを遊ばせている近所の親子連れのグループから、多少不審の目で見られたような。最近凶悪な事件が多いもので、こういう時一々説明しなくても済むという点で「デジカメとナップザック」は便利(^^;　平日の昼間から暇人が史跡の見学をしているという図になりますので。あ、ここでも一度行き過ぎ北浅羽の集落から出てしまいました。お寺自体もそれほど大きくなく、奥のほうにあり余り目立たないものですから(^^;
	■画像クリックで板碑の説明へ。　天気もよくほかに撮影するものも無く、取り敢えず万福寺本堂を撮影。　板碑の読み下し文は「右は曩祖(先祖)浅羽小大夫有道行成朝臣の為、その子孫等、彼の故墳(古い墓)について、造立し奉るなり、伏して願わくは菩提樹茂り、近く後昆(後世の子孫)を蔭い、本覚月朗らかに遠く幽冥を照らすなり、徳治二年結制日(僧侶の修養の初日)、七代末孫比丘(男の僧)慧見(実名不詳)幹縁(直系の子孫)□□(造立か)」ということです。「坂戸市史」等は板碑の形式である胎蔵界大日如来(アーンク)が刻まれていることから、浅羽氏と真言密教の関係の深さを窺わせるものであると記しています。　<<2004/11/22　撮影　晴れ>>
交通アクセス	河越観光バス北浅羽バス停より徒歩1分。北浅羽の集落の中にある万福寺境内。

<<2004/11/14　撮影>>

　埼玉県指定の考古資料ですのでほかの板碑とは違いこのような建物の中に安置されています。おそらく200年以上は用水路の橋代わりに使われていたと考えられ、その時代から見ると180度方向転換の処遇です。途中で折れたり、破片となってしまった板碑などに比べればはるかに幸せな余生を送っているのでしょう。
　左隅に小学生と思われる児童の作成した手書きの板碑の説明がかわいい。こうした小さな取り組みが文化財の保護意識の向上に繋がっていくのでしょう。歴史的な文化財はその意味が分からなければその価値も知る由もありません。地域を知りその歴史を知ることで郷土を愛する心が育まれ幅広い視野を持つ人間に育っていく。歴史的な文化財の社会的存在意義の一つだと思います。

　銀杏の色づき加減と青空の対比が、深まり逝く秋を感じさせます。うーむ、しかし板碑以外には見事に何の遺構もないですなあ。推測ですけど、このあたりは洪水の多発地帯であり多分越辺川の氾濫で幾度となく流失している可能性が高いと思います。近代では「明治43年の大水」「大正2年8月の大洪水」が記録に残されています。

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