■深谷上杉氏家臣の館跡か
　深谷市の埋蔵文化財発掘調査報告書などの資料によれば、この地域には「庄屋屋敷」と呼ばれる館の伝承がのこされていて、一説には東方城主の側室の屋敷が所在したとも伝えられているとのことです。宮ヶ戸を含むこの地域は１４世紀後半から１６世紀末にかけては深谷上杉氏の支配地域であり家臣の友成氏の所領とも伝わり、その居館としての可能性も指摘されていますが、資料などが殆ど存在しないために詳細は不明のようです。

■平成元年の圃場整備事業に伴う発掘調査の際に幅約２ｍの溝状の遺構が確認され、平成５年の発掘調査では２００ｍほど東側の地点で幅４ｍの比較的規模の大きい溝状の遺構が見つかっているとのことです。なお、堀ノ内の規模としては概ね南北200ｍ東西150メートルから200ｍ程度の大きさが想定され、東方城の北側900メートルの位置に所在しています。

「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「埼玉県史　通史編２中世」(1988/埼玉県)
「新編武蔵風土記稿」(1981/雄山閣)
「武蔵国郡村史」(1954/埼玉県)
「埋蔵文化財発掘調査報告書第59集　庁鼻和城跡　第４次」（1999/深谷市教育委員会）
「深谷市の文化財」（1974/深谷市教育委員会）
「深谷市史　追補編」（1980/深谷市）
「深谷市のＨＰ」
「角川日本地名大辞典　11　埼玉県」（1980/角川書店）　 　

（　2005/07/23　）
■　位置としては堀跡か．．．でも年代的には新しそうな
　今月の11日以来の訪城です。行き先はまたしても深谷方面です。深谷城を除いて主な所は大方回り終わっているのですが、一般の資料にはあまり掲載されていない所とすでに訪城済みの所の未確認部分が中心です。
　神社とお寺が近くにあり目印となっているはず．．．神社の方は直ぐに見つかり、いつものように参拝の後に境内に車を駐車させていただいて徒歩にて探索を開始。一方、お寺の方はというとどうやら墓地と一部の鐘楼や地蔵堂などの小さな建物を除いて現在の場所には存在せずに、ゲートボール場と地区の集会所の建物が建てられていました。
　地表から見た遺構については何もないということことは予め予想していました。しかし堀ノ内と思われる場所を１周半ほどしてみた所、西側の方にどうやら堀跡の特徴が残されているように見える道路と、年代的には遥かに後世のものかもしれませんが「堀跡」らしき小さな窪みを目にできましたので、それなりに収穫があったということで。

・MapFan Web の案内図です　　

（　2005/07/23　撮影　）

■地域の集会所建設の記念碑が寺跡の隅に建てられていましたが、はっきりした根拠があるわけではありませんが直線的な僅かな窪みのある畑との境界部分がかつての堀跡のような印象でした。

■堀ノ内といわれる西側の地域には道路から見て直角方向に幅２間、深さ１ｍ弱、長さ数ｍほどの溝が所在しています。畑の根切りか用水路の跡など年代としては新しいものかもしれませんが、なんらかの関係があると嬉しいのですが　(^^;