善能寺塁　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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	善能寺塁
関連ページのリンク	2004/11/14の日記大塚館　大河原氏館　堀込の城跡　大法寺館　三福寺陣城　善能寺館
所在地	埼玉県坂戸市善能寺西山167付近
歴史と沿革	「小田原衆所領役帳」によれば善能寺は布施弾正左衛門の所領19貫471文として記録されている。弾正左衛門は計438貫180文を領する大身であり、相模衆14家の一つといわれ、康則と称し、栄禄7年鴻台合戦で負傷し、北条氏康から佐渡守の呼称と団扇の使用を許され、天正13年小田原で死去。（以上「坂戸市史」より）しかし、この善能寺塁との関わりは不明であり、後北条氏の支配時代の位置づけも不詳である。
確認できる遺構	土塁（北側の延長約80ｍぐらいの部分は二重土塁と思われる）、空掘（北側の二重土塁の間、西側の一部）
構造的特徴および周辺の地理的特徴	善能寺館の位置と比べて低地にあるので周辺の見通しは悪い。城館跡と思われる一体は南東から北西にかけて緩やかな傾斜を見せている。善能寺館のところでも記したとおり、その地理的な近さなどから見てこの二つの遺構の関わりは深いものがあると思われる。しかしそのことを立証する材料はなく、「坂戸市史」は、鎌倉公方足利基氏の苦林野・岩殿合戦などと関連する陣城のような遺構ではないかと推論している。
参考資料、古文書、記録	「坂戸市史」(1992年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸の歴史--坂戸市文化財ガイド」(1992年坂戸市教育委員会編集発行) 「坂戸市史--中世資料編1」(1987年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１号」(1978/坂戸市教育委員会発行) 「中世の坂戸」（1996年坂戸市教育委員会編集発行）「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１５号」（1989年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）「坂戸市史中世資料編Ⅱ」（1980年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）
文化財指定	無
訪城年月日	2004/11/14

訪城の記録	<<2004/11/14>>　善能寺館訪城の後、下の写真にある板碑の少し手前まで車を移動してそこから徒歩で訪城。とはいっても直線で100ｍと少しの距離なので、目印となる集会所がすぐ目の前の畑の中に見えています。これでは自分がいくら多少方向音痴で、視力が悪いといっても間違えようがないのであります。道は善能寺の集会所に向かって緩やかではありますが、結構下っているのがはっきりと分かります。　これらの地形から考えても、やはり二つの遺構は創設当初は異なるとしても、まったく別々のものとは思えないのです。善能寺の集会所の直ぐ隣に無住と思われる善応寺の建物が新しく新築されています。おそらく法要などのときだけ住職が派遣されてくるのでしょう。近辺にある墓地は僅か２、３基であり、周辺の外墓地を含めても20軒に満たないようで、これでは住職が常駐していないのも肯けます。　寺の駐車場と思われる場所の直ぐ脇に空堀跡と思われる溝が、すぐに確認できましたが、どうも家庭用の雑排水の側溝代わりになっているようでした。ただ規模から云って、これが当時のままかどうかは分かりませんが、かなり縮小されているように思います。堀を渡るところに小さな木の橋があり、その先に墓参りの参拝者用の井戸があったので試しにポンプを押してみましたら、しっかり冷たい水が出てきました。飲用は危なそうでしたけれど(^^; 　寺の隣が普通の農家になっており、その敷地としての境界も余りはっきりとしていないようなので、一応ナップザックを背負っているのですが、不審な人物と疑われないうちに速やか退城。さてこれからが本番で、できるだけ周辺をめぐろうと一度表の通りに出てから東側の道に出て北上。すると、そこに坂戸市鶴ヶ島消防組合の防火水槽の標識が。番号は44-6ですけど。そういえば、塚越の明泉館への入口も防火水槽が目印でした(^^; 　なんとこれが善能寺塁の最もはっきり残されている土塁と空堀でした。およその延長距離として120ｍ以上はありそうな長さです。そのうち手前の東よりの部分の80ｍはおおむね二重土塁を形成しているとことが素人目にも理解できます。しかし、残りの部分は西側の一部を除いて先ほどの農家の宅地内となっているためかなり手が加えられているように思えました。
	北側の土塁部分は民家の防風林の中にありますが、場所によって違いはあるものの明らかに二重土塁としての遺構であることが窺えます。ただ当日は曇っていたこともあり、薄暗くてよく見えなかったというのが実情でした。防風林の隙間から撮影させていただいた。　<<2004/11/14　撮影　曇り>>
交通アクセス	大字善能寺の坂戸市の善能寺集会所、または善応寺の周辺が城館跡。バス停善能寺、または入西から徒歩2分ぐらいで、善能寺館の北西100ｍの位置。

<<2004/11/14　撮影>>

	南北朝時代の文和年間の刻印のある板碑。坂戸市には平成4年の坂戸市史編纂の時点で1022基もの板碑（板石塔婆）が確認されており、道端のこんな所にも750年以上も前のものがごろごろと．．．．。「坂戸市史中世資料編Ⅱ」によれば、「願文」は「右、志のおもむきは逆修、追善の衆ならびに同心合力の人のために、ないし法界現当成就なり」と読むそうで、建立者自らの生前供養として、現世においても来世においても仏の広大な慈悲を願っているという。板碑自体は上下が欠損しており高さ113.8cm、幅約60cm、厚さ5.7cmの大きさであるということです。
	物干しが置かれているように、どう見ても民家の庭先なのです。でも、砂利敷きの部分は善応寺の駐車場のように思えますが。空堀の深さ約２尺、幅１間程度ですが、こういう状況ですので当時の遺構かどうか確信が持てません。
	先ほどの撮影位置から回れ右をして撮影すると、配水管がいくつか見えるという風景に。古い墓所がこの空堀沿いに見えます。また、墓所の反対側の部分は土塁に見えないこともなさそうな感じです。
	正面の建物が善応寺の本堂。右側の建物が坂戸市の善能寺集会所。
	防火水槽のあるところから、二重土塁と空堀を撮影。このあたりは、土塁も低く遺構かどうかが分かりにくい状態です。　右側の土塁に沿って細い道があり、この道を西側に進んでいくと防風林の中にはっきりとした遺構が確認できる。
	手前の２本の杉木が生えているところが外側の土塁。薄暗いので写真で見るとなにやら訳が分からなくなると言う訳で。
	善応寺の隣にある民家との境の空堀。ことによると、単なる境界線の一種かも知れませんが。
	車が通行するたびに削られていく運命にある土塁跡らしき遺構。どこかで見た風景だと思ったら、大法寺館の南側に僅かに残された土塁がそうでした。北側の土塁の西の端で防火水槽のある東の端から約120ｍほどあります。ここから土塁は南に向かっていると思われますが、宅地部分が多く確認できていません。
	暗くて見づらいとは思いますが、奥の暗い部分が内側の土塁で、間の空堀からの高さは3尺以上（1ｍ程度）はあります。二つの土塁の頂上部分での距離、つまり堀幅は3間近くありそうです。

　

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