大堀山館大堀山大堀山城　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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	大堀山館( 大堀山、大堀山城 )
関連ページのリンク	200/01/06の日記　大穴城　広谷北城　広谷宮前城　下広谷の遺構① 　下広谷の遺構② 　広谷南城
所在地	埼玉県川越市大字下広谷字牛原南３３２番地ほか
歴史と沿革	■年代の推定については発掘の出土品から15世紀以降16世紀初頭と推定されている。太田道灌の死に始まる山内・扇谷上杉氏の抗争である長享年中の大乱（1487年～1505年）の頃の山内上杉氏のものという説などもあるが、築城者についてははっきりとしていない。 ■「埼玉県史」では、応安元年（1368年）の「平一揆」の中核をなした河越氏、高坂氏の本拠地から推定し、その動員の規模や地理的な連携からこの大堀山などに在陣した可能性を示唆している。 ■「新編武蔵風土記稿」の下広谷村の記述では「古跡三ヶ所　土人城の跡と唱て何人の居跡なることを伝えず」とされ3ヶ所の城跡の説明が続き、その一つが大堀山館であることは間違いが無いといわれている。　該当する記述としては「一は村の東北にあり、東西北の三方の堀は二重なり、深六尺ばかり、南の方は一重なり、深さ一丈ばかり、南面に構しと見えたり、東西の堀長六十間、南北の堀長百間ばかり」という部分が、空堀の配置と深さなどから見て最も相応しいようである。　ただ、方位については東北ではなく北という表現が妥当であるが、この点については当時は下広谷村が高麗郡に属し、高麗郡の中では東北に位置していたことからの誤解によるものかもしれない。堀跡の規模の相違については、他の城館跡の記述同様に大まかな伝聞記述によるものと考えられる。また、この記述によれば南側の外堀については十九世紀初頭の時点で既に失われていたということとなるのだが。
確認できる遺構	土塁、空掘、馬出、平場（郭）
構造的特徴および周辺の地理的特徴	■入間川と高麗川に南北を挟まれた坂戸台地の南東に位置し、約600ｍ南側を支流の大谷川、館のすぐ北側を越辺川に注ぐ小河川に囲まれた平坦地に所在している。 ■周辺には大谷川の対岸にある大穴城を始めとして半径1キロ圏内に広谷宮前城、広谷北城、広谷南城などの中世城館が集中している地域である。また館の東側を伝鎌倉街道の枝道が南北に通っているとのことである。 ■館の規模は東西180ｍ、南北220ｍ（推定）との規模を示し、二重または三重の空堀によって防御されている。 ■大堀山を中心として西に広谷北城、東に広谷宮前城が約200ｍの等間隔で直線状に並ぶという配置上の特徴を有している。しかし、その相互の関係については推論の域を出ず明らかとはされていない模様である。
参考資料、古文書、記録	「坂戸市史」(1992年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）「川越市史　中世編」（1985年/川越市編集発行）「埼玉県史　通史編２中世」（1988年/埼玉県編集発行）
文化財指定	■埼玉県史跡　2004年3月23日 ■埼玉県の文化財保護課の史跡指定理由によれば「中世方形館としては埼玉県内でも最大級であり、保存状態のよさからも重要な遺跡である」とのことである。
訪城年月日	200/01/06

訪城の記録

（　2005/01/06　）
■ 大堀山に戻ってきた
　ローソンの東側の日蓮宗本応寺別院の北側の細い道からアプローチ。先日雪が積もってから、もう５日も経ったのだから、いくらなんでも雪はすっかり解けては．．．．いなかった。南北に林に囲まれた道路なので日差しが当たらないらしく、ガリガリに凍結していました。
　100ｍほど進むと右側にプレハブの倉庫があり、左側にも次第に廃墟と化しつつある住宅が１件。そのプレハブの倉庫に分断されてはいましたが、一番外側の北側の空堀が道路からでも東西方向にのびているのが確認できます。現在の堀自体の深さは１ｍ強程度ですが、幅は５間以上もあるような規模です。
　この時期であるにもかかわらず、全体として結構藪があり南側から迂回しようかとも思いましたが、外側の東の堀を確認後東西の中間地点を強行突破。これは結果的に成功で、中堀にある土橋も確認できましたし、遺構全体の中で堀跡については、中堀部分が最も状態が良いことも自分の目ではっきりと分かりました。早い話、明確な遺構に対面してあまりの嬉しさに中堀は水のある南側を除いて１周半した訳ですけど(^^)　中堀は深いところで4ｍ近くはありますので、埋まっている表土などを取り除けば５ｍ以上になるのではないかと。

■半円形の馬出も
　ただ、意外に思うこととしては北側の外側の堀の道路を挟んで反対側にある半円形の半径10ｍほどの馬出の遺構があります。これについては「川越市史」では掲載されていますが、「埼玉の中世城館跡」などでは掲載されていません。確かによく注意して観察しないと分かりにくいことは確かですが、完璧な半円状の形態が保たれているのが奇跡的ですし、見落とすということも余り考えられないので実に不思議な気がします。
　このあと東側の広谷宮前館に向かいましたが、またもや少し見当違いをしてパイオニアのグラウンドをぐるっと迂回しているうち霙がぱらぱらと。このため、遺構らしきものを確認しつつも、ローソンの車まで緊急撤退し遅めの昼食を。昨年の五月下旬以来の訪城でしたが、いくらか城跡を見る目が養われたかについてはあまり自信はありません。
（　2005/01/08　）
■ ついでの再訪
　広谷北、大堀山、広谷宮前の意向は西から東へほぼ等間隔で直線状に並んでいます。したがって、広谷北城から宮前の遺構に移動すると、そこに当然ながら大堀山があり、道路上迂回してを歩くのならば大堀山も再訪することに。どうせ確認することも幾つかあったし。
　実際には都合三度目の訪城ですが、回数を重ねると方向感覚が定まってくるせいか、城域がやたらと狭く感じるようです。最初の訪城では初夏という季節柄、全く見通しも聞かず遺構を東西南北に横断できるとは思いもよりませんでした。
　再確認したことは次のとおりです。北側から入る場合には外堀上に設置されたプレハブの小屋の左側の開けたところから進めば中堀の土橋に出ます。また、主郭の残土はかろうじて郭内に納まっており、内堀は南側を除いて確認できました。しかし何度見ても南西部分の空堀の規模の大きさには、ここが平城であることを忘れさせるダイナミックさがあります。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　北側から見た場合には中堀に相当する南側の空堀で、幅は上面で５間以上、深さは軽く４ｍある場所もあり、西側の県道からではそうした様子は全く窺い知れない。
　これより東側は水が大分溜まっている個所が多く、残念ながらぐるっと一周することはできなかった。空堀の規模の大きさをデジカメで伝えるのは結構難しく、種々撮影した中で杉木との対比の関係でこれが一番分かりやすそうな画像です。
　単なる館や陣城という概念では収まりきらない規模と縄張りの工夫が感じられる遺構です。南西の空堀の角部分より撮影した。
　(　2005/01/06　撮影　曇のち時々雨　)

交通アクセス

・東武バス観音堂停留所より徒歩４分。12月から2月の冬場ならば北側の本応寺別院の脇の道からの藪こきがお勧め。夏場はなるべく避けて4月頃と10月、11月の頃ならば南側の米穀店の脇の道から入り200ｍ先の民家の手前を左に入ると主郭に直接出られるコースがよさそう。　

（　2005/01/06　撮影　）

■道路を挟んでさら外堀の北側にある半円形の馬出を東側から撮影。半径にして１０メートルぐらいの規模で、内側にも数十センチ程度の土塁の盛り上がりが確認できます。北側との段差は最大1.5ｍぐらいです。

■左の馬出のすぐ北側を流れる坂戸市戸宮と川越市下広谷の境をながれる水路。ご覧のように表面は凍結していますが、当時からのものだとすれば複雑に曲折していることもあり、何か大堀山との関連があるのかも知れませんが詳細は不明です。

■雪は深いがあまり深く残ってはいない外堀の東側部分で、150ｍぐらい真直ぐに南側の民家の宅地部分まで続いている。

■馬出を逆にしたような外側で高さにして2ｍぐらいの勾配のかなりきつい半円形の土塁で外側に向かって開いている。この部分には外堀が無く、真直ぐに進入すれば180度の広角での攻撃を受けることとなる様である。内側での高さは1.5ｍほどで、この部分を乗り越えて南下すると中堀の土橋に行き着く。

■中堀の土橋から西側を撮影。幾分折がつけられているのがはっきりと分かる。

■木が倒れている個所が中堀の土橋。右側が北側の外堀との間の３の郭。左側は２の郭。

■中堀北側の中堀の東側の部分は深さは浅くはなっているものの、このようなクランク状の折が見られる。雪が残っていたので、却って空堀の形状が写真では分かりやすいようです。

■数年前に主郭の西側に積み上げられた残土ということです。このため主郭の南側の内堀は確認できません。

■発掘調査のため伐採された主郭部分。今後出土する遺物などにより、具体的に館の経緯についての新しい手がかり等が浮かび上がるといいのですが。
　西側の残土は別として、現在は見通しが良いので全体像が非常に掴みやすい状態です。
　中央部分やや右側の細い木の幹の陰に小さく見えるのが神明社。これを目印にしては、まず大堀山は探せません(^^;

■南側から見た中堀の西側の様子。左側が県道の方向で、右側が主郭方向。

■中堀の南西側の角部分。主郭側の堀の深さは軽く４ｍぐらいはありそうです。

■西側の外堀を南側から撮影。下の写真はその場所を西側の県道から撮影している。

■中堀の西側でよく見ると50ｍほど先で右側（東側）に90度カーブしているのが分かります。

■県道256号線から見た大堀山。今回時間をかけて回ったので分かったのですが、手前の畑と林の間に西側の外堀があります。
　内側の大規模な遺構がなければ畦堀のようにも見えてしまいますが。


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