広谷北城　戸宮前館　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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	広谷北城(戸宮前館)
関連ページのリンク	200/01/08の日記　大堀山館　大穴城　広谷宮前城　下広谷の遺構① 　下広谷の遺構② 　広谷南城
所在地	埼玉県川越市下広谷戸宮前４２０、４２１
歴史と沿革	■「新編武蔵風土記稿」の下広谷村の条に「古跡三ヶ所　土人城の跡と唱て何人の居跡なることを伝えず」という記述に始まる大体の所在地と規模に関する大まかな記述があるのみで、築城主、歴史などは伝わっていない。また、広谷北城がこれらの記述に含まれているのかどうかについても不明な模様である。市の発掘調査によれば、出土した遺物などは15世紀後半のものが確認されたらしい。また、発掘調査報告書などでは「戸宮前館」との呼称で呼ばれることが多い。
確認できる遺構	空掘(水堀)、土塁
構造的特徴および周辺の地理的特徴	■南北を入間川と高麗川に挟まれた坂戸台地のほぼ中央分に位置し、大堀山を中心として西に広谷北城、東に広谷宮前城が約200ｍの等間隔で直線状に並ぶという珍しい配置上の特徴を有している。東側には小規模な堀により囲まれた方形の小郭が縦型に連続しているとのことであるが、真冬でも藪がのこり確認しづらい状態である。また、同様の遺構が発掘調査により南側でも確認されている。 ■遺構全体の規模は東西南北約250ｍの方形で大堀山を凌ぐ大きさであることが推定されるとともに、北西部分に偏在する主郭と思われる部分は二重堀となっていることが遺構の一部から確認できる。　ただ、北側の外堀からさらに北へ延びるやや規模の大きな堀もあり、70ｍほど北側の小河川までが城域であった可能性もありそう。さらに80ｍほど離れた南東側にも小郭の遺構が確認できるので、なかなか全体の規模が把握できないのではないだろうか。
参考資料、古文書、記録	「坂戸市史」(1992年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）「川越市史　中世編」（1985年/川越市編集発行）「埼玉県史　通史編２中世」（1988年/埼玉県編集発行）
文化財指定	無
訪城年月日	200/01/06、2005/01/08

訪城の記録

（　2005/01/06　）
■天候悪化のため探索はおおまかに
　遺構のありそうな場所自体については、昨年大堀山を探していた時点ですでに確認していましたので。現在は南側も広く伐採整地され(　たぶん圏央道の道路予定地と思われます　)、遺構として確認できるのは北側と南東側の杉林の堀の一部ぐらいになってしまいました。確かに遺構としての広さは大堀山を凌ぐものが推定されますが、残念なのは何と言っても殆ど遺構が消滅しつつあるという現実です。周辺では工場を含む宅地開発、産業廃棄物の集積場、墓苑の開発なども少なくなく、それだけに大堀山の遺構の状態の良好さはまさに奇跡的であるといっても良いと思います。

（　2005/01/08　）
■やっぱり時間をかけてよく観察しないと
　一昨日訪城した時には天候と時間の関係で、余り林の奥の方は探索できませんでしたので、今日は遠慮なくどんどんと奥のほうまで分け入っていきました。
　最初は堀の規模も水の量も、そんなに大したことは無かったのですが、県道側から200ｍほど西側に入った整形外科の敷地の西側の裏手と運送会社の敷地との境辺りはかなりの規模の堀が残っています。もちろん、伐採された樹木がそのままになっていたりしていて、あまり見栄えは良くないのですがそれでも幅３間以上、深さ２ｍの規模を残しています。ただ、ここまで到達するのには３ヶ所ぐらいの湿地帯となっている堀跡を通過しないといけないことと、ある程度「藪こき」が好きでないと難しいようです。
　また、形態的に当時のものかどうかの確証がありませんが、ちょっとした池のようになっている水濠も残されており、黒々とした水をたたえて深さも不詳なようで、やや不気味な気配さえ漂ってきます。この一帯は大堀山の北側を流れる小河川の水源地帯の低湿地帯となっているようですので、まとまった雨が降った後は奥まで入り込むことは難しいというよりも足元が軟弱になり多少の危険が伴う可能性があります。したがって、訪城には晴天が続く冬場が最適ではないかと思います。
■圏央道の建設でたぶん期間限定
　今のうちならば大堀山周辺の訪城の節には、時間があれば是非とも立寄ってみる価値はあります。
　この地域は大堀山を中心として広谷北城、広谷宮前城が約200ｍの等間隔で直線状に並ぶという珍しい配置上の特徴があります。そうした様子を当時の雰囲気も含め僅かに伝える南北に分断されたこの遺構が、完全に圏央道の両側地帯となってしまうことから、一体何時まで存在できるのかが非常に気になる所ですので。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　幅にして５間ぐらいはありそうな堀跡。深さはせいぜい２ｍ弱ですがかなりの規模です。難点はここまで入るのに多少の努力が．．．．写真で見るよりも地面が軟弱で、堀底に入ったら抜け出られなくなりそうな予感が．．．．
　(　2005/01/08　撮影　晴　)

交通アクセス

・北側の堀がよく残っている部分は夏場はかなりの藪になります。また、全体として北側の部分は窪地になっているため大雨の後はかなりの湿地状態となるのでの訪城は避けたほうが無難です。東武バス戸宮バス停前の高圧線の北側の雑木林。　

（　2005/01/06　撮影　）

■南東隅の杉林の中にある方形小郭東側にある空堀の様子。遺構であるという予備知識がないと見過ごしそうな窪みですが、本来は北北東の方向に250ｍほど続いていたらしい。

■西側の富士見工業団地沿いに残る土塁のような地面の盛り上がりで、資料などを見ると西側の堀跡などの遺構と平行している位置にあります。

（　2005/01/08　撮影　）

■堀跡が残る南側の杉林。この手前の部分に圏央道が建設されるらしい。たぶん。

■東側の県道に近い部分の堀跡は、幅二間、深さ60から80センチ程度の里道といってもいいような僅かな窪みです。

■東西にのびる堀跡からさらに北へ張り出している堀跡をかなり不安定な足場の状態で撮影(　撮影位置が北側　)
　伐採された樹木がそのままになっており、これを踏み抜くと１ｍほど体が沈む．．．．って、体験しましたので確実です(^^;　堀の右側には、よく見れば高さ１ｍほどの土塁も残っています。

■雑木林の中に忽然と現れる深さ不詳の堀池．．．．落ちればこの時期は確実に心臓麻痺です(^^;　運送会社の造成宅地の脇にあるので、元々のものか、雨水の流入によるものか土砂の採掘によるものか分かりません。


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