本庄城　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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本庄城

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　2005/05/25の日記　雉岡城　東方城　皿沼城　庁鼻和城　　五十子城　　　

おすすめ評価

訪城季節３　遺構状態４　探し易さ５　交通利便５　体力消耗５　歴史経緯３　印象２　総合２７

所在地

埼玉県本庄市本庄３－５

歴史と沿革

■本庄と本庄氏　本庄周辺は武蔵七党の児玉党の拠点の中核でその本流は始め「庄氏」を名乗っていましたが、庶家が分かれるに従って本流は「本庄氏」を名乗るようになったということです。本庄市の前身の中核部分を形成する本庄町は、近世の本庄宿であり天保14年（1843年）の人口は4554人、1212戸を数え、当時中山道のなかで最大の規模の宿場町として発展しました。「本庄」の地名としての由来は弘治２年（1556年）に本庄宮内少輔実忠がこの地に城を築き北堀・栗崎地内の東本庄館から移転したことに始まるといわれています。なお、市内南の五十子西側の北堀地区には字東本庄という名称が残されていて、本庄氏の本拠地としての名残をその地名にとどめています。
■中小領主の帰趨定まらず　―　「紀要　創刊号」（1986/本庄市歴史民俗資料館）より引用
天文年間始めは山内上杉氏に帰属し、同15年（1546年）河越で敗戦し一族の本庄藤三郎が討死
天文20年（1551年）上杉憲政が越後へ逃亡した後には後北条氏につく
永禄２年（1559年）の上杉謙信の関東侵攻の時はこれに加わり、永禄４年（1561年）３月の小田原城攻めにも上杉方として加わる
永禄４年９月の武田信玄の上野侵攻の折には武田氏に従う
永禄10年（1567年）の上杉謙信の関東侵入時には後北条氏に城攻めされて落城し再び後北条氏の配下に
天正10年（1582年）滝川一益に服属
天正18年（1590年）秀吉の関東攻めで城主の実忠の子隼人正は小田原城で自害、本庄城も落城
　以上のように、後北条氏、上杉氏、武田氏などの大勢力に囲まれ、僅か５０年足らずの間にその帰属を幾度となく変えていました。その節操のなさを批評するよりも、一族の生き残りを賢明に模索していた在地領主本庄氏の悲哀を感じずに入られません。
■関東入府以降
　天正１８年（1590年）後北条氏の滅亡により後北条氏方であった本庄城は落城し本庄氏は領主の地位を失い、同年９月に徳川家の家臣小笠原掃部大夫信嶺が石高１万石で知行しました。周辺ではこのほか深谷市の東方城には松平孫六郎康長が１万石、深谷城には松平源七郎康直が１万石、同様に児玉町の八幡山城（雉岡城）には松平与次郎家清が１万石で知行割されています。なお慶長17年（1612年）６月に酒井忠次の三男で信嶺の養子信之の時、古河城に移封され２万石を領しましたが本庄城は廃城とされました。また、小笠原氏はその子の政信の代に関宿城に移封され２万２７７７石を領し、その後美濃、越前と国替えが行われて幕末まで続きました。

確認できる遺構

切岸、土塁？

構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■元小山川の流れを北辺の天然の要害とした西側から続く本庄台地の東端部分に位置しています。梅沢氏の下記の著書によれば「鉢形城タイプ」の城郭であるとし、東西方向は市役所の西側の県道から八坂神社辺りまでの370ｍ、南北は南側の空堀跡辺りまでの110ｍが城域であるとしています。確かに元小山川を荒川、久城堀と呼ばれる低湿地を深沢川に見立てれば鉢形城の旧城の部分に似てはいるようです。しかし、河川の規模が著しく異なることから、その防御性については遥かに劣っているように思えます。
　また、「本庄通史　Ⅱ」（1989/本庄市）では、本庄実忠時代の城跡はもう少し東側の台地部分に位置していたとの指摘をしていますが、その史実について現状の地形からは窺い知ることが困難です。「天正10年成田家分限帳」によれば「御家門　永楽千貫文　本庄越前守長英」と記されていることから、東国の戦国時代になかなかその帰属が定まることのなかった中規模の領主階層の城郭としては妥当な規模なのかもしれません。

参考資料、古文書、
記録

「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「本庄通史　Ⅰ」（1989/本庄市）
「本庄通史　Ⅱ」（1989/本庄市）
「紀要　創刊号」（1986/本庄市歴史民俗資料館）
「本庄市のＨＰ」　　

文化財指定

１９５８年本庄市指定文化財の史跡に指定

訪城年月日

2005/05/25

訪城の記録

（　2005/05/25　）
■市役所と城跡
　本庄市役所の東側の辺りが城跡だそうですが、「本庄市史」によると本庄氏が築城した当初は更にもっと台地の東側に位置していたとのことです。
　さて、現在確認できる遺構らしいものといえば城山稲荷神社付近から八坂神社付近に残る台地と斜面の切岸らしき存在ぐらいです。あとは．．．しいて言えば市役所の駐輪場の隣家とのネットフェンス越しに目に入る土塁のような連続した土の塊があります。いずれにしても「本庄市史」の記述によれば、双方ともに近世初期の遺構であるということになります。また、更に強いていえば市役所の自転車置き場から東に延びる幅１間ほどの曲がりくねった住宅の間の細い道は空堀の跡らしいということでしょうか。
　しかし、市役所の西側の正面や川沿いの元小山川の護岸に施工された現代的な石垣を目の当たりにすると、大堀切が市役所の建物の下に埋もれているとのこともあり、何故かいいようのない白々しさを感じてしまいました。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　本庄城の北辺の重要な天然の防御施設であったと考えられる元小山川の流れで、写真右側の部分が城跡の北端になります。
　市役所の敷地のある部分の両岸は散策ができる公園のように整備されていました。
市役所北西にある県道142号線の元小山橋の上から　(　2005/05/25　撮影　晴　)

交通アクセス

・ＪＲ高崎線本庄駅より徒歩10分、本庄市役所東側の城山稲荷神社付近　MapFan Web の案内図です　　

（　2005/05/25　撮影　）

■城跡の名残を感じさせる市役所の北側の斜面。中世における城郭が政庁を意味するものであるとすれば、市役所の建物があるということはその意味では現代に通じているわけで．．．などと屁理屈を並べて合理化しても、あまりに風情を欠く光景ではあります。
　もっともこれでコンクリート製の模擬天守があったりしたら、笑い話の種にはなりますけど。

■元小山川は市街地のど真ん中を流れる中小河川ですが、流石に市役所の隣ということもあるのでしょうか。ゴミの不法投棄や水質の汚染も目立たず、幟旗の兵庫の通りに清流が守られているように見えました。

■草木に覆われ始めてきた本庄城址の石碑。この左側に６台ぐらいは駐車可能な神社の参詣者用の駐車場らしきスペースがありましたが、市役所の所在する方面の様子も確認しておきたかったので、あえて市役所の駐車場の方に駐車して徒歩であちこちを見て歩くことにしました。

■本庄実忠が弘治２年（1556年）に築城したと記されていますが、山内上杉氏と古河公方が東部の五十子付近で対陣した長禄年間の始めに築城され後に本庄氏により再整備されたとの梅沢氏の見解もあります。

■「五十子城」でも見かけた「ほんじょうかるた」の石碑で、これは「けやきの木　歴史を語る　城山稲荷」と刻まれています。

■城跡の北東、鬼門の位置に所在する城山稲荷神社の境内に残されている台地の崖の切岸のように見える部分。この場所から更に100ｍ以上東にある八坂神社の先端の辺りまでが城跡の縄張りとされているようです。

■本庄実忠が建立し、その後一時徳川氏家臣の小笠原氏が領主となった際に再建されたと伝わる城山稲荷神社の由来に関する説明版。

■「城跡の名残をとどめる」と石碑などに刻まれた城山稲荷神社と、「ご神木」の埼玉県天然記念物に指定された推定樹齢５００年ぐらいはありそうな存在感のある「大けやき」

■残念ながら「大けやき」の上部は台風などにより倒壊していますが、幹周りの太さは説明版の通りの大きさを残しています。

■城跡の東側の端にある城下公園。

■現状が相当に改変されているようなのですが、グラウンドの南側に残る城跡の台地の名残かと。

■城跡の台地の東端に所在する八坂神社の拝殿ですが、狛犬ならぬご近所の番犬が集団で束になって吠えまくるので余り長居ができないのでありました。

■駐車場部分は造成のため相当にＧＬが嵩上げされているようですが、それでも高さ３ｍから４ｍぐらいのかつての城跡であったと思われる台地の地形が確認できます。

■本庄市役所の南側の自転車置き場に接した民家の敷地の片隅に遺されている、土塁跡のようにもみえる高さ1.5ｍ、長さ5ｍほどの連続した土の塊。


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