東本庄の館　荘小太郎頼家館　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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東本庄の館

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　2005/06/21の日記　北堀堀ノ内　本庄城　五十子（陣）城　栗崎館　東五十子城　牧西堀ノ内　

おすすめ評価

訪城季節３　遺構状態２　探し易さ５　交通利便５　体力消耗５　歴史経緯２　印象２　総合２４

所在地

埼玉県本庄市大字北堀字東本庄４１

歴史と沿革

■関東の争乱に巻き込まれていく本庄氏
　上杉禅秀の乱に始まる鎌倉公方と執事である上杉家との確執は永享の乱、結城合戦を経て、在地の中小領主層を南北朝の争乱に続いてさらに争乱の渦に巻き込んでいきました。享徳３年（1454年）関東管領上杉憲忠は鎌倉公方足利成氏によって誅殺され、以降関東は管領上杉氏と古河に本拠を移した古河公方足利成氏による約30年間にわたる戦乱である享徳の乱が発生しました。
　上杉方は五十子に本陣を置き古河公方方と対陣しますが、「本庄市史」では源平の合戦で活躍した本庄氏の子孫本庄宮内少輔信明（延徳２年、1490年死去）が、この享徳の乱の起こった15世紀の半ば頃に東本庄の館を築き上杉方として戦いに加わったものと推定しています。
　荘小太郎頼家の館という伝承・説もあるようですが、「本庄市史」ではこれを否定しているようです。

確認できる遺構

無

構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■北に男堀川、南に小山川（身馴川）の流れに挟まれた小規模な台地上に所在しているが、本庄市の総合体育館などの建設により周辺の状況が大きく変化し「市史」に掲載されていたような光景を目にすることはできません。五十子陣の西側に位置し、現在でも北側にはよく見ると水田であった場所と２ｍほどの段差が残されています。

参考資料、古文書、
記録

「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「本庄通史　Ⅰ」（1989/本庄市）児玉党についての記述が200頁前後に及ぶ。
「本庄通史　Ⅱ」（1989/本庄市）
「紀要　創刊号」（1986/本庄市歴史民俗資料館）
「本庄市のＨＰ」
「日本の神々の事典」（1997/学研）　　　

文化財指定

無

訪城年月日

2005/06/21

訪城の記録

（　2005/06/21　）
■「市史」に記されている状況とのあまりの違いに
　館跡の方へ行く前にまず、浅見丘陵から眺めた栗崎館の位置を再確認し、そのあと本庄一族の菩提寺である宥勝寺に向かい庄小太郎頼家のものと伝えられる五輪塔をデジカメに収めました。さてここで予想通りお寺の本堂の北側には盛りを迎えたアジサイの花が数十株ほどあり、これ幸いと館めぐりよりもアジサイの撮影に躍起となりました。平日の特に著名な観光地でもない場所なので参詣者は自分ひとりで、浄財１００円でアジサイの画像を独占してきました。
　さて肝心の館の跡の方は、先月末に訪城した栗崎館のすぐ東側で東本庄稲荷神社が目印だとの事前情報が。現地に赴いたところ、市史編纂の２０年前当時とは著しく異なり、目前にいきなり本庄総合体育館の近代的かつ巨大な建物が現れ、一瞬の間ですが例によって場所を間違えたかとも思ったぐらいです。しかし、よくよく前方を眺めると巨大な体育館のその左隣に小さく神社の赤い鳥居が見えたので、この場所に間違いないということで一安心を。
　神社の境内には神社の由来と共に、「館の跡」について記された説明版もあり、とりあえず納得を。おそらく２０年以上前には、畑と野原しかないような場所だったと思われ、あまりの環境の変化にしばし呆然としていました。「市史」の記述しているように、神社の所在する部分は確かに周辺よりも数十センチほど高くはなっているように見受けられますが、これは平成１１年当時の盛土であるとのご指摘をいただきました。いずれにしましても近年の周辺の土地の造成工事などの関係で、元来の地形がほとんど分からないのにはホトホト弱りました。（　2010/12/25　追記　）

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　北側から見た館の中心部分と推定されている東本庄神社ですが、周辺があまりにも殺風景な印象です。元来が微高地だったとされていますが、現在の道路から見た場合には50センチほど高くなっています。しかしこれは平成１１年当時の盛土によるものである旨のご指摘をいただきました（　2010/12/25　追記　）
　背景の空の部分に送電線のケーブルがあまりにも目立ちすぎていたので、写真編集ソフトを使用して消去してあります。
　(　2005/06/21　撮影　曇　)

交通アクセス

・上越新幹線本庄早稲田駅より東へ徒歩２０分　MapFan Web の案内図です　　

（　2005/05/　撮影　）

■真言宗西光山宥勝寺の山門。宥勝寺の境内は標高105ｍほどの大久保山を最高点とする浅見丘陵東側の山腹に位置し、元来は直ぐ東隣に所在する金鑚神社からほぼ地続きのような位置にあるのですが、上越新幹線高架橋がその間を分断しているために一度麓まで降りないと辿りつきません。　(　ちなみに宥勝寺は上越新幹線の本庄早稲田駅から僅か徒歩５分ほどの場所にあります　)
　また、本堂北側の庭には折から数十株ほどのアジサイが満開でアジサイの接写画像の製作に励むこととなりました。

■寺の北東を上越新幹線が縦断し、周辺には大学のキャンパスが建設されるなどして大きく景観を変えていますが、「本庄新八景」と銘打たれているように緑に囲まれた絵になる寺院の佇まいでした。　

■宥勝寺の本堂。境内の玉砂利の間には小さなスミレがあちこちに咲いていて危うく踏み潰しそうになりました。
　「新編武蔵風土記稿」などによれば、建仁２年（1202年）に頼家の妻が頼家の菩提を弔うために建立したと伝えられている歴史の古い寺院です。

■源平の戦いの一ノ谷の合戦（）で討死した荘太郎家長の嗣子小太郎頼家の供養のために建てられたと伝えられる五輪塔（一番左側）とその一族の石塔。
　1963年8月27日に埼玉県の文化財として旧跡に指定されています。

■東本庄稲荷神社の祭神である「宇迦御魂命（うかのみたまのみこと）」（　「古事記」での表記で、「日本書紀」では「倉稲魂命」と記されている　）は武蔵七党児玉党本庄氏の氏神であったと、右側の写真の説明版には記されていました。
　「倉稲」の文字が示すとおり「ウカ」とは食物の意であり「ウカノミタマ」とは「稲魂（穀物の霊）」そのもので、穀物の神として稲荷神社に祀られています。
　現在周辺には樹木が少ないこともあり、大きな赤い台輪鳥居が際立つ神社でした。

■左側の石碑の中の画像は５０年ほど前の神社の様子のようです。
　この説明版および「本庄市史」では、この地が「東本庄の館」として推定されると記されていますが、埋蔵文化財などの出土品は別として、説明版が設置された２０年前の当時においても微高地であるという以外には地上の遺構として確認できるものは存在していなかったようです。

■館の跡の中心部分とされる東本庄稲荷神社の東隣に建設された本庄総合体育館。

■東側からの館跡の中心部分というよりも、神社の東側からの風景とでもいったほうが適切なようです。


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