鉢形城　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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鉢形城

おすすめ評価

訪城季節３　遺構状態８　探し易さ５　交通利便５　体力消耗３　歴史経緯５　印象４　総合３３

所在地

埼玉県大里郡寄居町大字鉢形字城2559番地1他

歴史と沿革

■源経基や畠山重忠が築城したとの言い伝えもあるが、文明８年(1476年)長尾景春が上杉家に対して反乱を起こした際に古城を本格的に改修し軍事拠点とした。その後山内上杉氏の属城となり整備され、永禄から天正年間にかけて北条氏邦がさらに大規模な城構えとしたと考えられている。
　しかし、秀吉の関東攻めにより氏邦は非戦闘員を含む3500人の人数で籠城するものの、天正18年（1590年）6月14日前田利家、上杉景勝、浅野長吉、木村一らの5万人の軍勢に包囲されて降伏したとされている。（「上杉古文書」「秀吉朱印状」ほか）氏邦はこののち、前田利家に寄寓し1000石の扶持を宛がわれたが慶長2年（1597年）8月8日死亡し、鉢形の正龍寺で葬儀が行われた。享年55歳という。（正龍寺文書「鉢形城の由来」）
　なお、氏邦の墓は今も宝篋印塔として自害した夫人の墓、義父の藤田康邦夫妻の墓とともに正龍寺に残る。

確認できる遺構

曲輪、土塁、空掘、水掘（池）、馬出、石積土塁

構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■北側を荒川の断崖に、東側を支流の深沢川の渓谷に囲まれた南北に細長い段丘を利用した要害の地ではある。郭の配置は梯郭状であり、笹曲輪という小規模な曲輪を付設する群馬の平井城(群馬県藤岡市)、白井城(群馬県子持村)、厩橋城(群馬県前橋市)などの上野の城の構造に酷似し山内上杉方の築城の特徴を示すものといわれている。北条氏の時代に拡張されたと考えられるが、大手側は人工の水掘、空掘と土塁のみであることと、縄張り全体の中で大手の近くの秩父曲輪周辺が最高地点であることから、二の曲輪、本曲輪(御殿曲輪)を見通すことができ、曲輪ごとの独立した防御性に疑問が持たれるのではないだろうか。

参考資料、古文書、
記録

「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「寄居町鉢形城跡の保存整備について」(2004/07/25第３７回遺跡発掘調査報告会発表要旨)
「寄居町史普及版　寄居町の歴史」(寄居町教育委員会/1989編集発行)
「寄居町史　通史編」(寄居町教育委員会/1986編集発行)
「新編埼玉県史　通史編２」(埼玉県/1988編集発行) 　　

文化財指定

国指定史跡1932/04/19

訪城年月日

2004/07/28、2004/08/16、2004/08/21、2005/04/14

訪城の記録

(　2004/07/28　)
■仕事の帰りに
　仕事の出張がたまたま寄居町だったもので......今から帰っても、どうせ５時は過ぎるし......鉢形城は確かこの近くのはず.......ものの十分もかからんぞ.......ってなわけで、寄ってきました。はい。
　2004/08現在城址公園としての整備中のため、今のところ説明版・誘導サインに不備が目立ちますが、翌日寄居町の教育委員会の方に電話で聞いたところ、誘導・案内板等のサインは今年度中に設置の予定とのことです。ただし埼玉県(本郭付近)と寄居町(二の郭、秩父郭)との管理者の違いがあって、残念ながら全体としての統一性・整合性の実現が難しいようです。また、文化庁の指導の下に想定復元された門と塀については、学術的な時代考証に従い当時の居館をイメージしたものであるとのことですが、全体の風景の中でなにかそこだけが突出したような違和感を感じてしまいます。
　なお国体終了後に二の郭と三の郭の間の道路に、すでに設置済みのものと同様の丸太の杭を設置予定。、今回の第一期の整備事業の中で城南中学校跡地に併設された資料館の正式な名称は「鉢形城歴史館」とのこと。建物自体はすでに完成してますが、誘導サインや説明版の設置を含めて正式オープンは「彩の国まごころ国体」の開催に合わせて１０月１６日です。入場料は大人２００円、学生１００円。なお駐車場のある資料館から二の丸へは、徒歩で深沢川の橋をわたることになります。
　また、１０月１７日から１１月２３日までは開館記念として当時の甲冑などの重要文化財展示を中心とした特別企画展の予定があるので、この期間に見学に行くのが一番お得だそうです。

（　2004/08/16　） 鉢形城の写真画像３へリンク
■はじめてのデジカメ
　今回はやっとデジカメの使い方が分かり、お盆の親戚挨拶まわりのついでの写真撮影となりました。なにしろ初めてデジカメを使うもので従来カメラの要領から抜けきらず、シャッターの半押しや撮影モードの切り替えなど結構苦労しました.......その結果が、これらの写真です。
　関係資料を見て初めて知った次第ですが、昭和初期の八高線の建設(高崎連隊の兵員輸送が主たる目的)に当たり鉢形城址を貫通するルート(秩父曲輪と二の曲輪の間を貫通する予定であったらしい)が予定されていたが、結果的に保存の必要性が認知され昭和７年４月１９日付で国の史跡に指定されたということです。地図で見ると、八高線は八王子方向から見て鉢形城址の手前で西に1㎞ほど急カーブし、次に同じく1㎞ほど北上して荒川をわたり、さらにまた1㎞ほど東に戻って寄居駅に到達していることが分かります。
　鉢形城址の保存のために、戦前の経済恐慌後の決して経済的に豊かではなかった時代であるにも拘わらず、約2㎞もの延長追加工事を行ったことになります。当時の保存決定に関わった人々の慧眼・英断がなければ、現在の鉢形城址は存在しなかった.........ということで、昭和の先人の英知に感謝。

（　2004/08/21　） 鉢形城の写真画像２へリンク
　前回の写真があまりに出来が悪かったもので再挑戦してみましたが、曇天と夕刻という事情もあり意気込みに結果がついてこなかったのでありました.......写真の数量ばかり多くてやたらに重たいファイルです　(^^;　　

（　2005/04/14　） 鉢形城の写真画像１へリンク
　昨年の夏以来７ヶ月ぶりの訪城です。鉢形城歴史館も開館し、城址公園としてポイントごとに標柱や説明版の設置なども順調にすすみ、以前と比べ見学者には親切な環境が整備されました。復元整備に関しては様々な評価があるとは思いますが、文化財の整備保全には経費もかかり一定の観光的な要素も考慮しなければならない事情もあるようです。
　今後は花園城や花園御嶽城などの最小限の歩道や説明版の整備も合わせてすすめていけるとよいのですが、その整備状況のあまりの落差に愕然とします。それにしてもちょうど桜が満開で、仕事に来たのか花見に来たのか微妙な所ではありました。ここで、少し古い本ですが地元の郷土史家の書かれた北条氏邦の本（金２千円也）を購入して俄か勉強を。

記念撮影

　秩父郭から二の郭方面を望む木製の柵は復元整備された「尺木塀」ですが、果たしてこの程度のもので敵方の攻撃を防御できたのでしょうか。
　写真をクリックすると拡大しますが、すでに修復した土塁の剥離崩落があるのが分かります。
　(　2004/08/21　撮影　薄曇　)

交通アクセス

■車の場合
　ご存知の方も多いとは思いますが、鉢形城の交通アクセスは車の場合だと国道２５４号線を寄居方向に向かっていき、信号機のある「露梨子」（つゆなし）の交差点十字路を右折して寄居の街中に入っていきます。ちなみに、この県道３０号線は昔の国道２５４線でしたが、新しい国道２５４線の下をくぐって、道なりにまっすぐ行くと信号のあるところで二股に分かれるのでそこを左折すれば道がやや上り坂となり左側の県の林業センターの反対側（つまり進行方向右側）の小高い林の中が本曲輪となってます。なお、現在のところ城址の中を縦断する県道沿いには駐車場はありませんが、脇道となりますが秩父曲輪と道路を挟んで反対側に少しなら車を止めておいても大丈夫そうな空地(三の曲輪のあたり)があります。正式な駐車場は外曲輪の鉢形城資料館のところにバスを含めて、１００台近く駐車できそうな大規模なものが建設されています。
■電車の場合
　なお電車の場合は寄居駅（東武東上線、ＪＲ八高線、秩父鉄道）から南へ荒川の反対側の崖の上を目指し、荒川にかかる正喜橋をわたりきるとT字路がありますが道なりにまっすぐ行き、勾配のそれほどきつくない坂を上っていくと右側が本曲輪となります。（徒歩１５分）　

鉢形城の写真画像１へリンク　■2005/04/14　撮影　「寄居北条まつり宴のあと」
　写真の腕は上がったのでしょうか．．．使用したカメラはニコンＤ５０です。

鉢形城の写真画像２へリンク　■2004/08/21　撮影　「デジカメのお稽古」
　二度目の訪城ですが真夏とはいえ、撮影時間は夕方１５時から１５時３０分頃で曇りがちの天気のためやや暗めの画像です。

鉢形城の写真画像３へリンク　■2004/08/16　撮影　「はじめてのデジカメ」
　使用したカメラはニコンのクールピクス3200。子どもの小さかったときは昔のアナログのニコンＦＭが活躍しましたが、子どもの成長とともに全く使わなくなってしまってから早十年が経過しました。（　もちろん当時のレンズはシグマ社製　）


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