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■1■やや遠い登口
本来ならば1キロメートル以上西側に所在する妻沢運動場の先の谷から直登する予定でしたが、北側の谷あいにはまだ積雪が残り車道自体も一部凍結している個所も散見されました。そんな事情に加えて格好の駐車スペースとこのような尾根筋への分かりやすい道が見つかったので、急遽この山道からリュウガイ城へ向うこととしました。
地元の皆さんが立てた標識には「中之坂を経て日影・赤沢」と記されていました。ちなみに「日影」は原市場、赤沢、中藤村をあわせた古い地名であるようです。
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■2■巨大堀切発見か(^^;
頭上に見えた尾根筋までは僅か3分も要さずに到着し、見事な切通しをしばし眺めていました。ここから右手(西)にすすむと「リュウガイ城」へ、左手(東)にすすむと「中屋敷」と呼ばれている平場に到達します。形状的には確かに尾根筋を堀切っているので、「堀切」には相違ありませんが、東西に張出す尾根の南北の渓谷沿いに広がる集落同士を結ぶ峠の切通しのようです。中屋敷の所在地に近いのでことによるとそれに関連したものかもしれませんが詳しいことは分かりません。
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■3■思いのほかのアップダウンのある尾根筋
東京電力の高圧線の鉄塔までは木製の階段が施されていますが、その先からはあまり人が入り込みそうもない山道となります。予想はしていたものの、それにしてもアップダウンの多い尾根筋です。30m登ったかと思うと20m下りといったパターンの繰り返し。いい加減に到着してほしいなどと呟きながら前方の地形を確認しつつ前進。
この写真の個所は一見最初の東側の堀切かとも思ったのですが、ただの自然地形の鞍部らしく城跡の遺構まではまだ100mほどの距離を残していました。
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■4■腰郭
一番東側の堀切上部に所在する面積40平方メートルほどの腰郭。
なお、途中の尾根筋で何度か大型哺乳類のものと思われる大量の糞を発見。このあたりは熊はいそうもないので多分イノシシではないかと。念のため資料やデジカメをザックに収納して、予め用意していた鉈を腰に吊るすことに。尾根筋の道自体は、高圧線の鉄塔やテレビの電波の中継施設などが3ヶ所ほど存在するために踏み跡もはっきりしていて、冬場ならば全く問題なく通行可能かと。
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■5■腰郭
「4」の場所を上部から撮影したもの。
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■6■腰郭 画像クリックで拡大
「4」「5」の腰郭の10mほど上部に所在する面積にして40平方メートルほどの腰郭で、かなり急な上り坂。帰路この坂道の下りで見事に滑って体を支えたときに手首を傷めたかと思ったほど。(転び方が良かったので大事無し(^^))
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■7■主郭東側の三の郭
広さにして150平方メートルほどの平坦地で腰郭ともいえる程度の広さでした。なおこの郭の東側の尾根筋にはこのほかに2か所の腰郭と1か所の堀切が遺されています。
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■8■腰郭
主郭と三の郭の間の堀切の堀底道から続いて主郭の帯郭状に北側をまいた形状となっていますが、写真にすると訳の分からない光景となりました。
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■9■主郭東側の堀切部分
向って右側の三の郭部分には高さ1mほどの土塁も確認できます。現状での堀切の深さは2..5mから3mほど。
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■10■主郭 画像クリックで拡大
山の神を祀ったものと思われる昭和30年代の半ばに建立された祠。文言には寄進者の氏名などが刻まれているだけで当然城跡との直接の関わりはなさそうです。幅10m×長さ35mほどの細長い主郭の南北の両面は切落とされているようで、直接登ってくることはかなり難しそうでした。
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■11■主郭東側の土塁
中央部分が凹んでいますが、小口なのか長年の通り道のために窪んだのか何ともいえないところです。歴史的な経緯は殆ど不明な模様ですが、これだけの遺構があるにも拘らず、訪れるひとがあまりいないというのは全くもって残念です。直接登ることができる道が存在せず、史跡など文化財としての指定もなく、もちろん道標や解説板などが存在しないことも訪城を疎遠なものにしているのかもしれません。
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■12■主郭西側の堀切部分
肉眼では堀切の形状・規模がはっきりと把握できますが、写真にするとご覧のような始末です。左側が二の郭で右側が主郭で堀切の深さは3m前後というところです。
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■13■二の郭北辺の土塁 画像クリックで拡大
二の郭はかなり凹凸が激しく、また南側の一部が崩落しているとのことですが、常緑樹の潅木が蔓延っていて形状が掴めませんでした。そうした中でこの北辺の土塁だけが唯一の明確な遺構として目にすることができました。
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■14■三の郭から本郭 画像クリックで拡大
手前の三の郭から本郭を写したもので、その間に深さ3mほどの腰郭に繋がる堀切が所在しています。それにしても撮影した画像は全て杉や檜の植林が写り込んでいて、改めてかつては林業が盛んな地域であったことを再認識します。
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■15■三の郭と本郭 画像クリックで拡大
三の郭直下の腰郭部分から撮影。
なお、このあと時間と体力があれば、同じ尾根筋の東側にある「中屋敷」へ行く予定も。しかし時刻もすでに午後3時近くになっていることと、両方の足首に余り力が入らなくなっている状態。したがって、このような場所で事故を起こしても洒落にならないのでまたの機会ということに。加齢と体重の影響かと思いますが、またしても両膝のばねとともに足首の筋肉の衰えを痛感した次第。
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