小島氏屋敷

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	小島氏屋敷
関連ページのリンク	2004/11/06の日記　小島氏館　塚越城　塚越の住吉館
所在地	埼玉県坂戸市塚越新田前591
歴史と沿革	東隣の塚越城同様、小島氏とのかかわりが深いものと思われるが詳細は不明。西光寺の寺歴の刻まれた石碑によれば、西光寺は「関東管領上杉氏の臣小島豊後越後父子二代当地に帰農し仏門に入り境内を寄進して西光庵を建てる、依て両氏を以て開基とす」とある。「坂戸市史」では、元来塚越城の一角に大宮住吉神社宮司の家族の墓があることから、鎌倉期に勝呂氏の一族が館を構えていたとし、勝呂氏との関わりを明示し、後北条氏の時代に小島氏が拡張していったものではないかと推定している
確認できる遺構	無
構造的特徴および地理的特徴	坂戸台地のの北端に位置し西光寺の塚越城の西隣にあ。このためその立地条件は全く同一であり、「坂戸市史」が暗に指摘しているように、両者はほとんど一体不可分の関係のあったと考えた方が自然に思えるのだが。　以前の埼玉県の調査の時点では土塁が確認できたということらしいが、近年の西光寺の墓地の拡張によりほとんど消滅しているらしい。資料などから見ると概ね西光寺の境内地に相当しているもよう。
参考資料、古文書、記録	「日本の中世城館報告集成⑥」（2000年/東洋書林刊）*「埼玉の中世城館跡」（1988年）を同様の「千葉の中世城館跡の報告集」（1996年）と共に合本し刊行したもの「坂戸市史」(1992年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸の歴史--坂戸市文化財ガイド」(1992年坂戸市教育委員会編集発行) 「坂戸市史--中世資料編1」(1987年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行) 「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１号」(1978/坂戸市教育委員会発行) 「中世の坂戸」（1996年坂戸市教育委員会編集発行）「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）「坂戸風土記--坂戸市史調査資料第１５号」（1989年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）「坂戸市史中世資料編Ⅱ」（1980年坂戸市教育委員会編集/坂戸市発行）
文化財指定	無
訪城年月日	2004/11/06、2004/12/12

訪城の記録

(2004/11/06)
■残念ながら遺構は殆どありません
　西光寺の墓地の墓石、墓碑銘などを拝見すると当然のことながら「小島姓」のものが多く、小島氏がこの地に深く根を下ろしていたことが窺える。また塚越の住吉館にも関わりのありそうな「水村姓」のものも散見された。最も旧い墓石で元禄期のものが確認できた。いずれにしても近年の墓地の拡張により、土塁があったと思われる一帯は墓地の区画がきれいに整備され、一部の板碑などの存在を除いて、遺構らしい遺構は全く確認できない状態となっていた。
　以前勝呂氏関係の城館跡を回った時についてまでによってみただけで、訪城覚書としてまとめたものかどうか迷ったが、「埼玉の中世城館跡」などにも掲載されているので、とりあえずの記録として一応まとめておくこととしたものです。歴代の住職墓地には南の五輪山から移設された貞治5年(1366年)の造立とされる勝呂氏の宝篋印塔が建てられている。こうなるともう完全に神社仏閣めぐりとなりますが、それはそれでご利益もあるかもしれないので.....。ご利益などという言葉を何気なく口にできる年齢になってしまった....。

(2004/12/12)
■遺構は無いけれども
　遺構が殆どないことは分かってはいましたが、塚越城との位置関係、勝呂氏の宝篋印塔の画像撮影、崖線ぐらいは残っているだろうというような理由で再訪。
　やはり丹念に周辺を見てみると、何とかそれらしい感じもするものも散見できたので、一応それなりの収穫はあったのかと。
　そんなことで、いくつか写真を追加しました。

　北側の以前は水田地帯であったと思われる低地方面から小島氏屋敷方面を望む。左側に見えるのが西光寺の墓苑で、その左側には塚越城があることから、どう見ても一体的な遺構に思えます。
　(2004/12/12　撮影)　

交通アクセス

　住吉神社バス停より北へ徒歩3分。西光寺の境内地。

(　2004/11/06　撮影　)

(左)西光寺の寺歴などが刻まれた石碑。
(右) 西光寺の本堂。猫好きの寺関係者の方がいらっしゃるのか、やたらと大柄な猫があちこちに10匹ほど分散配置していた。猫自体は嫌いではないのだが、これだけいると．．．．．(^^;曹洞宗の寺だが、手水舎もあり阿吽の形をした玉取り・子取りの狛犬も奉納されていることだし、宗教的な教義で身動きが取れなくなることに比べれば、実に大らかで日本人の信仰のありようにに合致している。

(左) 勝呂氏の一族が代々神官を務めた大宮住吉神社の本殿。この本殿の向側に里神楽を奉納するための神楽殿もある。「坂戸市史」によれば、この神社は江戸時代に北武蔵12郡（入間、比企、高麗、秩父、男衾、賀美、那賀、児玉、埼玉、榛沢、幡羅、大里）の神社の触頭（寺社奉行の命令を触下である一般の神主に伝達する役目）として管内を統括していたというが、現在の様子からではなかなか窺い知ることができない。
　また、社伝では天徳3年（959年）2月、長門国豊浦郡住吉神社のの祭神を奉遷したとのことであり、前9年の役の源義家、治承4年の千葉介常胤に関する伝承もあるという。神社周辺には縄文時代から平安時代に至る土器片が多く出土しているとのことで、周囲の地理的条件から壮健年代を10世紀とするこの社伝の信憑性を補足している。
(右) この大宮住吉神社と西光寺は町道を介して南北に対面した位置にあり、当時における何らかの関連を想起せずにはいられないのだけれど．．．．。

(左)　神社の西側を流れている水路。　 (右)　神社の北側の部分。土塁のような印象の地形に見えてしまうが．．．．．考えすぎだろうか。

(左)　坂戸市の設置した曹洞宗西光寺の寺歴の説明。(　2004/12/12画像入替　)
(右)　曹洞宗西光寺の参道から山門までの距離は結構長い。写真の画面左側の部分は寺院の庭園となっており、一見土塁のように思われる高まりもあるが、たぶん庭園の造成に伴う築山のように思われる。

(　2004/12/12　撮影　)

(左)　以前は塚越の住吉館の西側にあり、現在西光寺に所在する14世紀南北朝時代の勝呂氏の宝篋印塔。
(右)　　北朝の元徳三年(1331年)の年号が刻まれている同所に所在する左側の板碑。高さ74cm、主尊(種子)はキリーク(正体)の阿弥陀如来です。

(左)　西光寺の墓苑は完全に造成工事によりかつての面影はないが、その西側の民家に残されている崖線の先端部分には僅かに当時の名残が感じられるような気配がする(^^;　
(右)　大宮住吉神社の拝殿(左側)と本殿。

(左)　埼玉県の無形民俗文化財の指定が行われている神楽が奉納されるという大宮住吉神社神楽殿。
　里神楽の上演のポスターが貼り出されていました。
(右)　大宮住吉神社の説明版。　

(左)　崖線との境に残る堀跡のような溝。写真の左側の林が塚越城。
(右)　西光寺の山門と鐘楼。

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