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城館跡の名称
関連ページのリンク  2006/02/27の日記 小柱堀の内 金崎殿館
おすすめ評価
訪城季節3 遺構状態5 探し易さ4 交通利便4 体力消耗5 歴史経緯2 印象3 総合26
所在地
埼玉県皆野町大字大渕492付近
歴史と沿革

大淵氏から金室氏へ
 児玉党秩父平氏の系図などによれば、秩父平四郎行高の第二子の高重は大渕氏となり大淵に館を構えたとされています。(「埼玉の城館跡」1968ほか)その後大渕氏は上野あるいは越後の小千谷に移り住み、そのあとには後北条氏の家臣となった金室氏が居館を構え代々里正(名主)をつとめたとされています。また、金室氏は天正の頃に刀鍛治であったという伝承があり、今も金室氏の氏神には金山明神の祠が祀られているとのことです。(「皆野町史」より)
 後北条氏は大工、樵、鍛治職人などの職人集団の被官化をすすめ公事使役としてその供給の安定を図っていたことが知られていますので、この金室氏もそうした職人集団の指導者として被官とされていたという可能性もあるのかもしれません。 なお、「鉢形訪城家臣分限録」(「埼玉叢書」より)には本国を伊豫幸代とする金室久内、金室平太の2名が共に200貫の所領を有する家臣として記されています。また、「新編武蔵風土記稿」「秩父志」「秩父風土記」などでは、この館跡などに関する記述は見ることができませんが、「北武蔵名跡志」では「応仁武鑑」の記述を引用して高重に始まる大渕氏の系譜を記しています。 別名を「金室氏館」とも。

確認できる遺構
石積み
構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■小柱堀の内のところで赤平川と合流した荒川の流れが北から北東へと大きく向きを変える河岸段丘の上部の山裾に所在し、北西側に標高350メートルから450メートルの山岳を背負う地形となっています。小柱堀の内からは直線で僅か500mの距離です。

文化財指定
訪城年月日
2006/02/27
訪城の記録

( 2006/02/27 )
なかなかそれらしいお宅が
 始めは「屋敷の入口に所在している石塁がもっとも目立つ存在らしい」との情報をたよりに、それらしいお宅を探してみたもののなかなか見つからず。集落沿いの道を北西に向ってすすんでいくと金室姓の多い墓地が道の左側に所在。さらに130mほどすすむと、やがて山裾に所在する旧家の手前付近に漸くそれらしい石積みを発見。
 しかし、どう見ても玄関先の正面にあたる場所のため、ご迷惑とは思いつつもお家の方に事情を告げて撮影する旨の許可をいただきました。折のつけられた石塁は後年にかなり修理の手が加わっているようにも見受けられます。したがってそうした状況からはその年代も明確ではなく、またそれほど大規模なものではありませんが、おそらくは後北条氏の支配した戦国時代の館跡に関連する遺構とされています。

記念撮影

 大渕氏(金室氏)館跡と推定されている付近の山麓の様子ですが、この山を北へ越えると日野沢川沿いの集落となり、高松城跡なども直線にして1.2kmとそれほど遠くはありません。

( 2006/02/27 撮影 曇 )
訪城アルバム
■1■旧家の入口付近に残る石塁跡
 捜し歩くこと20分、ようやくめぐりあった石塁跡。このあと、玄関先の撮影について了解をいただき下の写真を撮影。
 
■2■屋敷の手前に所在する石塁跡
 どこまでが当時のもので後世にどの程度手が加えられているのか、こうした現状からだけでは分かりかねましたが、右側の石塁には確かにこのように折がつけられていました。
■3■館跡近くの墓地
 金室姓の墓石が幾つか所在していましたが、判読できる最も古いもので享保4年の紀年銘が刻まれていました。また写真の堂宇はたぶん地蔵堂かと思われます。
■4■振り返ると武甲山の姿が
 一応館跡の所在を確認し、さて次の目的地へ向うべく、何気なくふと後ろ側を振り返ると武甲山の雄姿が...館跡のほぼ真南の方角にあたります。
交通案内

・大淵二叉路信号の北西約100m、大淵第8区公会堂の南西付近の旧家周辺
いつもガイド の案内図です 地図サイトいつもガイド 

凸参考資料
「中世北武蔵の城」(梅沢太久夫 著 2003/岩田書院刊)、「埼玉県史 通史編2中世」(1988/埼玉県)、
「埼玉県史 別編4年表・系図」(1991/埼玉県)、「新編武蔵風土記稿」(1981/雄山閣)、
「武蔵国郡村史」(1954/埼玉県)、「角川日本地名大辞典11埼玉県」(1980/角川書店)
「秩父郡誌」 (1972/秩父郡教育会編)大正13年出版の復刻本、)、「中世の秩父」(2001/秩父地区文化財保護協会)
「秩父志」(「埼玉叢書」の国書刊行会より出版された復刻本より)、「角川日本地名大辞典11埼玉県」(1980/角川書店)
「皆野町史 通史編」(1988/皆野町)、「皆野町史 資料編3」(1981/皆野町)「増補秩父風土記」を所収 

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