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鴻巣高校のネットフェンス沿いの狭い道をくねくねと進んでいくと目の前に突然このような光景が現れます。この標柱の脇に2台ぐらいなら駐車できるスペースがありました。
普段余り遺構がほとんど残されていないところばかり回っているもので、このような時は「おー空堀だ、土塁だ、隅落しの横矢掛かりだ...」と俄かにテンションが高揚していくのでありました。画像クリックで拡大します。
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南側の土塁は概ね遺されている感じですが、空堀の方は途中から民家の宅地の中に吸収されるように消失しています。(「11」を参照)
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南東部分の隅落しのある土塁。10mほどの間隔で北に向かい、東に折れてまた北へ向っています。
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東側の土塁と空堀を南から撮影したもの。
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「4」より少しだけ北へすすんだあたりですがも屈んで撮影したためにやや視線が低くなっています。
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北東の隅部分にも「3」と同様の規模の折が施されています。ちょうどその個所で付近の保育園の園児十数名が木の実や枯枝を拾い集めていました。滅多に人影が写らない所ばかりを撮影していますが、このときは小さい子どもたちの遊び場にもなっている光景が微笑ましく思ったので、敢えてファインダーの中へ入れさせてもらいました。画像クリックで拡大します。
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東側の堀跡を一人の園児が不思議そうに振り返りながら先生たちに引率されて保育園へと戻っていきました。右側が主郭です。
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清和源氏の祖となる源経基は清和天皇の子貞純親王の六番目の子であったことから「六孫王経基城址」と称されたといわれています。この写真はその館跡としての伝承を示す河野廣中の揮毫による大正4年に建立された石碑。画像クリックで拡大します。
なお、この城山の地は明治の初めに後北条氏の家臣であった道祖土氏から別れた福島家により引き継がれた模様ですが、江戸時代の中期に編纂された「武藏志」の著者である大間村の名主福島東雄(1734-1802)はこの一族とされています。大間村は近世には林大学頭と旗本西尾氏の相給とされ幕末まで続きます。また、この福島家は他の近在の林大学頭の1220石余りの領地の統括差配を任されていたとされています。
なお、「武蔵志」によれば、「大間古城 大間に在り 地形額にして北東西田深 南平原続き四方山不見 上杉の臣箕田某が居之...」と記されています。
―「埼玉県史 資料編10近世1地誌」(1979/埼玉県)より一部引用―
なお、非常に細かいことですがこの裏面に刻まれている碑文については、「鴻巣の石造物(箕田・田間宮地区)」で紹介されています。
この点については「本村城山ハ幕府儒官林大学頭々采地也 天保度里正耕ハニ困リ村民ニ給ス...」とあります。
しかし、これは碑文をよく見れば分かることなのですが、恐らくは「本村城山ハ幕府儒官林大学頭ノ采地也 天保度里正耕八ニ因リ村民ニ給ス...」であり、大意は「この城山は幕府儒官林大学頭の所領である 天保年間に名主耕八により村民に...」であるので明らかに誤りではないかと考えられます。
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主郭の内部は常緑樹も多く生い茂っていますので、当日は快晴であったにも拘らずかなり薄暗い状態です。黒く見えているのが東側の土塁の内側部分で内側での高さはおよそ2m前後かと。郭内は写真の左側から右側(北から南)に向けて緩い傾斜がかかっています。
画像クリックで拡大します。
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郭内の東側から見た西側の土塁部分。「8」の写真の石碑が見えますが、「鴻巣市史」などでも示唆しているようにひときわ高くなっている部分は櫓台・物見台のようにも見えます。
画像クリックで拡大します。
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南側の小口状の地形。南側の空堀は全体の三分の二くらいの長さが住宅の宅地の下に埋もれている様子です。この部分では内側の土塁の高さも実質的に1.5mあるかどうかでその傾斜も緩やかとなっています。画像クリックで拡大します。
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西側の腰郭のようなテラス状の平坦地で上段が主郭にあたります。2mぐらいずつの段差で「13」の道路部分に続いています。画像クリックで拡大します。
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西側から見ると郭内が道路から二段上にあることが分かります。道路から見た主郭までの比高差は5メートル弱かと。画像クリックで拡大します。
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西側の町道沿いに設置されている詳細な解説が記されている説明板。この左側には複数の分譲住宅が所在します。画像クリックで拡大します。
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館跡の西側は中世から続く古道とされる町道が走っていますので、こちら側からアプローチする方法もありますが車を駐車する適当な場所が余りありません。なお、右手前の部分は民家の敷地となっています。
画像クリックで拡大します。
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南西側の荒川方向から眺めた城山の遠景。画像クリックで拡大します。
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