凸以前には方形土塁遺構等が残存とも
　江戸時代に編纂された「白河古事考」「白河風土記」に記された城館跡なのですが、経緯・舘主等については委細不明とされています。下記の画像のように阿武隈川をその眼下に俯瞰できる地理的条件を有するとともに、白河・石川・岩瀬３郡が交わる交通の要衝に所在しています。
　かつては麓の陣ヶ岡集落中央部に大手が認められ、山頂部分に約５０ｍ四方の土塁に囲まれた郭が所在していた模様ですが、東南部分の半分が石材採掘により消失し昔日の要害としての面影は喪失したとされています。（「矢吹町史第１巻通史編」第４章「矢吹の城館」の項より引用）
　なお約５０ｍ四方の方形館といいますと、同時代性は別として矢吹町内にはほかに現在でも物見館、大和久館の２か所の遺構を確認することができます。またこうした規模から想定する限りでは、三城目城を本拠地とした戦国時代末期の中畑氏のような有力領主階層の館跡というよりは、むしろより在地性の強いひとつの村落を支配するような小規模領主階層の館跡と考えられるものと思われます。