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1歴史・伝承 2残存遺構 3訪城記録・記念撮影 4アルバム 5交通案内 6参考・引用資料 7更新記録
関連ページへのリンク  2008/01/05のブログ 長根城 多胡砦 多胡下城
所在地
 群馬県多野郡吉井町大字長根字宿1610
歴史、人物、伝承

徳川家康外孫の陣屋跡
 「吉井町誌」第2部歴史編の記述によりますと、天正初年に奥平信昌の二男松平右京大夫家治が10歳のとき上州長根に7千石を与えられ、その後「上野国志」「上州古城塁記」などによれば、文禄元年(1592)12月14歳で早世し廃城とされたと記されています。しかし、「天正初年」の時点においてはこの西毛地域一帯は武田氏の支配下にあったはずなので、徳川氏による所領宛行があったということはまず考えられません。

 従ってどんなに早くとも天正18年(1590)の後北条氏滅亡後と推定されるものと考えられます。また、この「廃城」が長根城を指すものか、長根陣屋を指すものかについては必ずしも明確ではありません。
 なお、その遺領は四男忠明が同年10歳の時に受継ぎ、その後慶長7年(1602)三河国作手に移封となり長根陣屋は廃されることになったとされています。(「吉井町の文化財ガイドブック」「日本史諸家系図人名辞典」などより)

 こうしたことから想定しますと長根陣屋の存続した期間は長くとも3年ほどということになるものと考えられます。陣屋跡は長根城の北西約300mの地点に所在し、地元には「城の内」との伝承地名も残されています。

確認可能な遺構
 外堀代りの小さな水路以外には見当たらず
文化財指定
 なし
訪城年月日
 2008年1月5日
訪城の記録 記念撮影

( 2008/01/05 )
 謎の多い陣屋跡
 吉井町の「文化財ガイドブック」(2006)によれば、天正16年(1588)にこの地を知行された徳川氏旗本奥平氏の陣屋跡で「城の内」との地名が残ると解説...って、どこか時代背景が微妙にずれているような気がするのであります。当然「吉井町誌」に記された山崎一氏の記述には含まれていませんので、何処かで取り違えたのかも知れません。また国道沿いの街中に位置しているため、無論明確な遺構などが所在するはずもありません。それでも僅かに背戸川と呼ばれる用水路の様な小さな流れの曲折が往時の陣屋の堀跡の姿を伝えるということなのですが、余程想像力豊かでないと当時の様子を思い浮かべるのは至難の業のように思えたのであります。



画像クリックで拡大します
長根陣屋跡(手前右側付近)と長根城(おそらく左側の丘陵)
( 2008/01/05 撮影 )
訪城アルバム
長根の交差点
「宿」の集会所
凸1 長根の交差点
 撮影する材料に窮したときには、とても頼りになる信号機の地名表示。
 北側から眺めた陣屋跡も、陣屋自体が置かれた時期も極めて短くかつその規模も大きくはなかったことなどが影響しているのか、その面影は殆ど無いに等しいような状況なのでありました。陣屋跡の規模は一辺が70mほどの極めて小規模なものであると推定されていることから、丘上の「長根城」については天正18年以降においても一定期間存続していた可能性も考えられます。
凸2 宿公民館
 長根陣屋跡の3軒東隣に所在する宿地域の集会所。左側に常夜燈と石祠が所在し、同時代のものではないにしても歴史の古さを醸し出しているのでありました。
 この左奥のあたりに、辛うじて陣屋跡名残をとどめるとされる南北方向に流れる水路と、30mほど先の方で東側へと折れ曲がる水路が所在し、その辺りが長根陣屋の南東部分に相当する模様ですが、現在は民家の宅地となっていますので往時の面影は殆どありません。
交通案内

いつもガイド の案内図です いつもガイドの案内図

凸参考・引用資料
太字の資料は特に関連が深いもの、あるいは詳しい記述のあるもの)

「関東地方の中世城館 5 栃木・群馬」(2000/東洋書林)
「日本城郭体系 4」(1979/新人物往来社)
「日本城郭全集 3」(大類 伸 監修/1967/人物往来社)・
「吉井町誌」(1969/吉井町)
「中世吉井の城館跡」(1991/吉井町教委)
「吉井町の文化財」(2000/吉井町教委)
「吉井町の文化財ガイドブック」(2006/吉井町郷土資料館)
「角川日本地名大辞典 群馬県」(1988/角川書店)
「群馬県多野郡誌(1927刊行の復刻本)」(1994/春秋社)
「多野藤岡地方誌」(1976/多野藤岡地方誌編集委員会)
「日本史諸家系図人名辞典」(小和田 哲男 監修 2003/講談社刊)

■「群馬県史料集 別巻1古城誌篇」(1969/群馬県文化事業振興会)
 ⇒ 高崎城大意、上州古城塁記、上毛古城記、上毛古城塁址一覧を所収
■「上野資料集成」(1917/煥釆堂本店) ⇒ 上野志、上州古城塁記、上毛国風土記、伊勢崎風土記を所収
■「上野名跡誌」(嘉永6年/富田永世)1976関東資料研究会による復刻本


・2008/04/24 HPアップ
・2008/05/01 記述訂正
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