凸大塚三城のひとつ
　「美土里村郷土史」によると、その昔は上中下の大塚３村は大前村と称されたとされるが、下大塚の地名は文和２年（1353）３月１９日の足利尊氏寄進状に高山庄に属するものとして記載されていることから南北朝期初期には既に分村改名されていたことが窺える。また、永禄６年５月１０日の北条氏康・氏政連署知行宛行状（安保文書）には闕所地として「上大塚郷小林右京亮分」等の記述を見ることができる。
　下大塚館は平地の城館跡で、現在は地元旧家の宅地として利用されている。一方中大塚城（駒形の砦）は、遺構としての残存状態は３者の中で最も良好で、「藤岡市史」によると高山氏一族小林氏の居城とし、市内東部に所在する小林館から天文年間以前に移住したと推定する旨を記している。
　さて「同書」によれば、この上大塚城については平井城への往還を扼する支城（山崎一氏の説と思われる）との説を提示している。上記の連署宛行状などからも大塚地区は全体として高山氏一族小林氏の支配におかれていたとされ、やはり同氏に関連する城館址のひとつと見ることに妥当性があるものと考えられる。別名を「上大塚の砦」とも。