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■1■方向音痴の極限状態
吉田町から県道37号線から国道299号線にすすむつもりが、武田信玄の秩父谷進軍ルートのひとつとされる土坂峠へ向かう県道71号線を走り、そのまま気づかずに合角ダムの近くへまで行ってやっと間違いに気づいてUターン。早くも15分ほど時間を浪費。さて、この間違いには主に2つの原因が。ひとつは道路地図には直進すれば国道299号線にぶつかるように記されているにも拘らず、実際には左折をしないといけなかったこと。もうひとつは旧吉田町の千鹿谷鉱泉付近地形が、三山の鷹谷砦の地形に酷似していたこと。このため途中まではてっきり鷹谷砦だと勘違い...(^^;
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■2■
さて諸般の事情でロスタイムがあったものの、無事目的地の近くまで到着。現在はグランドとなっている中学校の跡地の駐車場に駐車させていただいてから、国道299号線を西側に300mほど歩いて赤平川に架かる皆本橋へと向います。
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■3■鷹谷砦
「少なくともあの天辺までは行かねばならないはず」と、考えるだけで足が重くなってくるのは明らかに歳のせい...国道から皆本の集落へと向う道路が左側にあるのでそこを左折して坂を下ると「4」の皆本橋の手前に到達します。
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■4■皆本橋
赤平川に架かる皆本橋を徒歩にて渡り100mも進まないうちに丁字路に突き当たります。突き当りを左折すると「5」の墓地のある尾根筋の東端部分が視界に入ってきます。赤平川の川幅はおよそ50m前後で谷の深さは20mほどでの断崖を連ねていました。
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■5■鷹谷砦の西側の尾根筋の先端部分
登口は尾根筋の先端を少し南側に回りこんだところから、「6」の祠へ向う舗装された細い坂道を登ります。
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■6■石の祠2体
とりあえず無事に山頂まで往復できるようにと祈願してから、右手の尾根筋に刻まれた山道を登っていきます。向って左側が山の神の総元締めとされる大山祇命(おおやまづみのかみ)、右側は天満宮と記されていました。
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■7■40度以上の急斜面
山道自体は尾根筋を幾分くねりながら登っていくので決して急傾斜ではありませんが、右手に見える北側の斜面はとても真直ぐには登れるような気がしません。砦跡の所在する痩せ尾根は全体としても、北側を赤平川、南側を支流のミナモト沢がそれぞれに深い急傾斜の渓谷を刻んでいるため、南北方向から登攀することは極めて困難な状況です。
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■8■稜線に刻まれた山道
山頂には祠が所在することもあり道自体はかなりしっかりと刻まれていますし、稜線上の一本道なのでいくら方向音痴の自分でも絶対に間違えようがありません。しかし、登り始めてから比高差にして80mほど登るあたりまでは多少急坂が続くため、足はつっぱるし息はあがるし...それでも尾根筋が広がりを見せる所まですすむと、後はずっと楽になりました。
この尾根筋に刻まれたような感のある山道の両側の地形は実質的に土塁の役割を果たしているようにも見えるのですが。
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■9■東側の堀切
最初の堀切部分のようですが、東側の方が殆ど埋まってしまっているらしく、「斜面の切落とし」や「腰郭」のようにも見えてしまうのでありました。
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■10■小口部分と思われるあたり
西側から撮影したもので、掘りあげられた土塁のような地形です。一見した限りでは坂小口のような感じもしますが、うっかりすると通り過ぎてしまうようなそれほど目立った存在ではありませんでした。
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■11■3番目の堀切
北側から撮影したもので、現状では左側で深さ1.5m、右側で1.8mほどの規模です。
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■12■4番目の堀切の上部
左側のミナモト沢方面は傾斜にして70度を越える急斜面で尾根幅もこのように極端に狭くなり尾根筋での行動の自由が狭められてしまいます。
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■13■4番目の堀切の東側
「12」の写真の個所を堀切の濠底から見上げたもので手前の個所でも4m以上の深さがありますが、尾根筋が非常に狭く切り立った地形であるために回り込むことなどは殆ど難しいようです。
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■14■4番目の堀切
鷹谷砦最大規模の堀切名のですが、尾根幅が狭いので全体を撮影することができません。南北どちらの方向とも急斜面のためこれ以上撮影位置を後退させることができませんでした。
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■15■主郭 画像クリックで拡大
東側の主郭への鞍部から眺めたもので、北方向に当たる右側の斜面は傾斜75度以上の岩壁でほぼ垂直の状態で数十メートルほど下方まで続いていました。想像以上の急崖の光景が目前に出現してくれたので暫く見とれていました。
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■16■主郭 画像クリックで拡大
山頂の直下の岩が露出している稜線は掴まるものがあまりないので、ちょっとよろけただけでも取り返しのつかないことになりそうな極端に幅の狭い痩せ尾根です。 |
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■17■標高504mの主郭のある山頂
それでも主郭と考えられる山頂は平坦に削平されているので、南北方向の両側の崖が切り立っている割には居心地のよい雰囲気があります。狭い山頂には石造りの「天狗祠」が祀られ、向って左側の石碑は昭和37年に祠を再建したときに建立したもののようです。碑文の始めの方には、「鉢形北条監視哨跡...」とやや用語が混乱しているような言い回しですが、城跡であることを示す石碑には違いありません。
現在でも村人の信仰を集めているようで、浄財やお供え物などが並んでいました。
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■18■主郭の西側
このような岩が露出した痩せ尾根が両神山の方まで続いているようです。尾根筋の南北方向に当たる両側は切り立った断崖が延々と続いています。したがって、仮に峠道から登って稜線に出たとしても、一列縦隊に潅木に掴まりながら悪路の岩尾根上を進軍することとなりますので、西側から攻め寄せることは事実上困難であると思われます。
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■19■主郭
西側の主郭先端部分から撮影したもの。広さは南北約6m、東西約10mほどの楕円形で周りは尾根筋の僅かな部分を除いて切り立った崖で囲まれています。150メートル以上の比高差のある眼下には、国道299沿いに所在する三山(さんやま)の集落が広がっていました。
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