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城館跡の名称
関連ページのリンク  2005/12/29の日記 鉢形城
おすすめ評価
訪城季節3 遺構状態6 探し易さ3 交通利便4 体力消耗5 歴史経緯2 印象3 総合26
所在地
埼玉県秩父市大野原3228
歴史と沿革

諏訪氏の居城か
 「新編武蔵風土記稿」の大野原村の記述によれば諏訪社(諏訪神社)の記述の中に「東は横瀬川に臨み 西は荒川にて懸崖およそ十余丈 屏障を立てるが如く この森の出崎にて両川落合えり さてこの所は諏訪民部之進といえるものの 城跡といい伝う 城陥落の後諏訪社を勧請せしという ...今に土手堀等の遺構往々にあり」と記されており、このことから戦国時代の鉢形城城主北条氏邦の家臣諏訪氏の居城ではないかとということが推定されているようです。

確認できる遺構
土塁、空堀、郭、小口
構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■荒川と横瀬川の合流点の侵食により東西に断崖が形成されている東西約250m南北200mほどの三角形状の台地の先端部分に所在し、南側の台地の続き部分を空堀と土塁により区画した城郭。南北に規模の大きな水路が流れ東西の郭を分断しています。

参考資料

「中世北武蔵の城」(梅沢太久夫 著 2003/岩田書院刊)
「埼玉県史 通史編2中世」(1988/埼玉県)
「埼玉県史 資料編6中世2古文書2」(1985/埼玉県)
「埼玉県史 資料編8中世4記録2」(1986/埼玉県)
「新編武蔵風土記稿」(1981/雄山閣)
「武蔵国郡村史」(1954/埼玉県)
「角川日本地名大辞典11埼玉県」(1980/角川書店)
「秩父の文化財」(1990/秩父郡市文化財保護協会) 

文化財指定
埼玉県選定重要遺跡 1969年10月1日指定
訪城年月日
2005/12/29、2006/01/07
訪城の記録

( 2005/12/29 )
平城で迷う...修行不足
 事前で地図などである程度想像していたよりも二本の河川の川底は遥か下方に位置していました。どちらかといえば高いところは好きなほうですが北側の細長い台地の先端部分では思わず足の裏が敏感に反応してしまいました。荒川と横瀬川の合流点の個所につくられたとんでもない要害かと。
 諏訪神社の境内の辺りまでは転落防止のための防護柵などが設けられています。境内の北側を進むにつれて次第に台地の地形は先細りとなります。ところが、そうした防護柵はおろかトラロープさえ危険注意などの標識さえも設置されていないようです。尤も、それらを設置するのもかなり危険な作業となるには違いありませんが。
 高い場所はどちらかといえば好きなほうですが、先端部分のおよそ2m手前までは進んだものの、足が意思に反して緊急停止。実際問題、それ以上先は安全ロープでも使用しないとさすがに危ない状態です。冬のこの時期は荒川の水も冷たく河岸は常時凍結し、傾斜が90度に近い断崖は20mを遥かに越える高さが...落ちたら100%即死間違いなしかと。河川の合流点に築城された同様のタイプとされる鉢形城の本郭北側の断崖が可愛らしく思えます。鉢形城の場合には北側の荒川方向は幾分傾斜も緩く台地の地盤もしっかりとしており、東側の深沢川は幅も狭く渓谷の深さも12メートルとそれほどの断崖ではありません。一方こちらは南側以外の三方向が侵食により切り立った崖を形成する台地先端部分にあたるためかなりのスリルを感じます。
 そんな北側と東西の天然の要害に対して南側は堀切・空堀・土塁で防衛線が形成されていますが、西側は枯れ草に覆われた個所がほとんどで現地ではかなり分かりにくい状況でした。諏訪城跡入口の標柱が城跡の南側の外れに設置されている以外には、諏訪神社の境内や西側の外郭と思われる土塁・空堀の個所などにも何の表示もなされていないのでこれを確認するのにも更に時間を要しました。
 また、遺構の南北を秩父鉄道が縦断していることや、これと平行して南北方向に水路があるために東西方向に移動するのがなかなか大変です。おまけに、この西側の方に小さな祠を祀ったよく類似した地形の個所があり、最初はてっきりここが城跡と思い込んで30分ほど時間を浪費してしまったというお粗末でした。

記念撮影

 ご覧の通り足元がヒャッとする諏訪城の台地の北端部分ですが、どのように足掻いてもこの方面から攻め寄せることはまず不可能だと考えられます。しかしこれではいざというときに逃げるに逃げられないような気もしますが。下の追加した画像はこの写真にも写っている橋の上から撮影したものです。 画像クリックで拡大

( 2005/12/29 撮影 晴れ )



 上の写真にも少しだけ木立の間に写っている秩父市黒谷の荒川に架かる「和銅大橋」の上から撮影したものです。諏訪城の立地に関する景観を尤も良く伝えると思われる撮影ポイントのようです。手前の大きな川が荒川で、左側のやや小さな川が横瀬川で、その間の切り立った断崖に囲まれた台地が諏訪城です。秩父地方にはこの諏訪城を始めとして、永田城、金仙寺城、宮崎城、寺尾城など規模の違いはあるもののこうした河川の合流点の台地上に立地している事例が多く見られました。こうした事例の最大のものが鉢形城ということになると思われます。
 さて、撮影に当り橋の上の通行量は決して少なくなく、下流寄りに付設されている歩道側からだと撮影がしづらいので歩道のない車線からの撮影となってしまいました。大型車などの通行には特に注意が必要でした。 画像クリックで拡大

( 2006/01/07 撮影 晴れ )
訪城アルバム
画像クリックで拡大します
■1■両神山標高1723m 画像クリックで拡大
 正丸峠に至るまでの道筋の混雑を避けるため、東秩父の大霧山の北側の牧場を越えていったりしたこともあり現地に到着したのは11時20分過ぎ。もっともこのとおり天気がよかったので、久しぶりに鋸の歯のような岩峰の両神山を始めとして、奥武藏、奥秩父の山容を手に取るように眺めることができてそれはそれで有意義ではありました。
■2■凍った荒川
 25メートルという高い崖線のため日陰となっている荒川の右岸は一日中氷が張り詰めて、川原に下りていく道路も日影の一部が完全に凍結してたたため、無人の自動車が一台取り残されていました。
■3■紛らわしい地形
 城跡の直ぐ東側にも小さな神社の祠が存在し、その台地の先端部分は細長く東西に切れ落ちているために安全ロープなどが設置されていました。さらに畑の中を南北に水路が縦断していましたので、これらのことから始めはてっきりこの場所が城跡ではないかと勘違いをしていました。しかしどうも西側に小さな谷などが存在していたりして地形が異なる印象が...秩父鉄道の線路の方に向い、「4」の写真の標柱を確認して自分の誤りに気づきました。
■4■諏訪城跡入口
 写真を整理していて思い出したことですが、どうもこの場所は30年以上前に一度だけ訪れているようです。諏訪城跡という名称や黒谷という駅名、さらにこの一帯の風景におぼろげな記憶がありました。恐らく美の山公園として整備される以前の蓑山ハイキングの帰りに立寄ったものと思われます。そのときも確か何処が城跡だか分からずに帰ったような記憶が...
■5■諏訪神社
 城跡の西側内郭に所在している諏訪神社。参拝する人が結構多いらしく色々なものが供えられていましたがやはりここはお賽銭を。
画像クリックで拡大しますが、高いところが苦手な方は自重を
■6■先端まで2m
 「足がすくみ、目がくらむ、ここで地震にあったら腰を抜かす..」.かどうかは別として、これより先に進むのは勇気がいるというよりも、はっきりいって危険ではないかという感じです。城跡の断崖に近づくことの危険を知らせる表示なども殆ど見当たらず、このこともある意味でびっくりしました。反対側から見るとおそらくは大型船の舳先のような形状に見えるのではないかと思われます。 画像クリックで拡大
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■7■荒川側にオーバーハングしている断崖
 先端部分から東側の様子を一歩踏み込んで撮影したつもりが、どうも腰が引けていたようでした。 画像クリックで拡大
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■8■西側外郭の土塁
 枯れ草にすっかり覆われているため、始めは土塁跡であるということが分からずにいて、諏訪神社の所から歩測してやっと確認できました。 画像クリックで拡大
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■8■空堀・土塁と2年越しの足の棘 画像クリックで拡大
 西側外郭の西寄りの崖線に近い場所ですが、枯れ草が腰の高さまである個所を30メートル以上突っ切らないと到達しません。思えばこの場所で右足のふくらはぎの下の方に棘をさしたらしく、今年の1月3日になってやっと気づいて自分で抜き取りました。どうも風呂に入るとき足がヒリヒリし、靴下が何かに引っかかるような気がしたのですが...ちなみに5ミリほどの棘が3本斜めに刺さったままで、歳を取るとどうも感覚まで鈍くなってくるようです。
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■8■西側外郭土塁
 右側に小口部分があるはずなのですが、時間の関係でここで道具を取り出して草刈をするわけにもいかず...画像クリックで拡大
■8■内郭の土塁と空堀
 諏訪神社の鳥居近くに所在する遺構でよく注意していないと見過ごしてしまう地形です。
■8■点在する土塁跡
 この細い道路の右側におそらく土塁跡と思われるような塊がありました。
交通案内

・秩父鉄道黒谷駅より徒歩20分ほど、荒川と横瀬川の合流点に所在します。
MapFan Web の案内図です  

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