中山屋敷　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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中山屋敷

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　2005/02/26の日記　　　

おすすめ評価

訪城季節３　遺構状態１　探し易さ４　交通利便４　体力消耗５　歴史経緯１　総合１８

所在地

埼玉県朝霞市７－１０付近

歴史と沿革

■中山氏は武蔵七党の丹党加治氏を祖としている。中山氏の一族で有名な助六郎勘解由家範は天正18年（1590年）の八王子城をめぐる攻防で寡兵にもかかわらず秀吉の大軍をよく凌ぎ自刃して果てたと伝えられており、「関八州古戦録」などの軍記物にも登場する。また、その子孫は家範の武名や乗馬術に優れていたことなどにより、徳川家に仕官し照守の系統は3500石から4000石の大身の旗本として、また信吉の系統は25000石の水戸家の筆頭家老あるいは久留里藩３万石の大名黒田家　(　武蔵七党丹党の黒田氏で筑前の黒田藩とは直接の関係はない　)　の当主として大いに栄え、その家は幕末まで続いたことは比較的よく知られている。
　この朝霞市に所在していたとされる「中山屋敷」は中山照守の次男直範とその子直照の屋敷であった。なお、「新編武蔵風土記稿」の溝沼村の条では、直範の父を家範としているが、助六郎勘解由照守の誤りと思われる。しかし、編纂の責任者で旧後北条家家臣の間宮氏末裔である間宮士信がその誤りを見逃すとも思えず、非常に理解に苦しむ部分である。「同稿」は不自然とも思えるほど、後北条氏時代の郷村支配の記述が目立ち、そのことが原因で正式に刊行されなかったとも推定できるほどであり、そうしたことから考えるとこの記述は単なる誤りであるのかどうか腑に落ちない。
　また、徳川家光の寵愛を受けていた直範は家光の死後の萬治2年(1659年)に改易され、寛文３年(1663年)に許されて300石でこの地に閑居し元禄６年(1693年)に死去し、「同稿」には当地にその塚があると記されている。なお、その子直照の時に600国を知行されたが、埼玉郡に転封となり領地は幕府に収公され、館跡は開墾され畑となっていったようである。

確認できる遺構

全く無し

構造的特徴および
周辺の地理的特徴

■東西を洪積台地に挟まれた低地で黒目側の右岸の自然堤防上付近にあったものと推測される。

参考資料、古文書、
記録

「あさかの歴史」（1997年朝霞市発行）
「朝霞市史通史編」（1989年朝霞市発行）
「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊）
「朝霞の文化財　第一集」（1962年/朝霞市教育委員会発行）
「岡の城山　朝霞市文化財調査報告書台10集」（1983年/朝霞市教育委員会発行）
「郷土史朝霞１」（1983年/森春男編/朝霞市郷土史研究会発行）
「郷土史朝霞２」（1988年/森春男編/朝霞市郷土史研究会発行）
「朝霞の石造物３　市史調査報告書第11集」（1994年/朝霞市教育委員会発行）
「朝霞むかしむかし」（1986年/子どもの本を読む会編/朝霞市立図書館発行）
「関八州古戦録　下」(1981年/槇島昭武原著、霜川遠志訳/教育者新書)
「小田原北条記　下」(1980年/江西逸志子原著、岸正尚訳/教育者新書)
「飯能の指定文化財」(1991年/飯能市教育委員会)
「飯能市史　通史編」(1988年/飯能市発行)
「中山氏と飯能・高萩」（2003年/飯能市郷土館発行）
「飯能市史　資料編Ⅺ地名・姓氏」(1986年/飯能市発行)
「飯能市史　資料編Ⅰ文化財」(1976年/飯能市発行)

文化財指定

無

訪城年月日

2005/02/26

訪城の記録

（　2005/02/26　）
■一族繁栄の中でひとり不遇な中山直範の屋敷跡
　最初から遺構が消滅していることが分かりきっている所で、おまけに推定地ということだそうです。黒目川沿のこの場所は、以前は微高地であったとの口承があるそうですが、現在は畑と住宅地になっています。おそらく河川の氾濫などで形成された自然堤防のような地形だったのでしょうか。
　中山直範は天正十八年の八王子城の攻防で壮烈な討ち死にを遂げたとされている後北条氏家臣中山勘解由家範の孫です。そして、その武名から大身の旗本や、水戸家の家老などに取立てられ、さらには小大名まで上りつめた家系もあります。それに引き換えこの中山氏の一族である直範は改易、減封を経験し、この溝沼の地で亡くなったようです。また、伝承でも中山氏の娘が入水したというような悲しい話が残っています。しかし、現地は黒目側沿いの堤防脇の畑や住宅の付近で、当時の名残をとどめているものは全くありません。既に夕暮れ時になり、すぐ近くを黒目川がゆったりと北の新河岸川に向かって流れ、川の畔では折から鴨が二羽ほど高層ビルが川面に写る場所でしきりに餌を啄ばんでいました。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　屋敷跡と推定されている付近はご覧のとおりの畑と住宅地で、川の流れと堤防も河川の改修で変貌しているでしょうし、本当にまったく当時の面影はありません。
　一方、中山氏の本拠地である飯能市の方には中山氏の館跡とされる空堀跡が埼玉県の旧跡として僅かに残されているそうです。
　(　2005/02/26　撮影　晴　)

交通アクセス

・東武東上線朝霞台駅より徒歩15分ぐらいMapFan Web の案内図です　

（　2005/02/26　撮影　）

■北朝霞方面のビル街。屋敷跡と推定される場所は黒目川の右岸にあり、堤防の上から望む北西側対岸の台地はこのような景観になっていて、かつて武名をあげた中山氏の子孫の屋敷が所在したとは到底想像できない景色です。
屋敷が存在したとされるのはもう300年以上も前のことですので致し方のないことですが。

■日没間近、夕暮れ時の黒目川。以前の比べると水質がかなり改善されて、魚も生息してるようで、飛来着水した鴨がしきりに夕食の餌を探して泳ぎ回っていました。


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