中城址

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	中城址
関連ページのリンク	2004/09/23の日記
所在地	埼玉県比企郡小川町大字大塚字中城
歴史と沿革	「新編武蔵風土記稿」の増尾村の古城蹟の項に「村の小名中條にあり、四方二町ばかりの地にて、から堀の蹟所々に残り、また櫓の跡なりとて小高き所あり、その辺今は杉の林なりたれど、城蹟のさま疑ふべくもあらず、土人の伝へに猿尾太郎種直が居城なりといへど、何人の枝属にて、何の時代の人と云うことは伝えざれば詳ならず」とある。ただ「小名中條」については大塚村の項にも記されている。この関係からか、「武蔵国郡村誌」では増尾村の北東に所在する大塚村の項に「東西45間南北35間村の南方字中城にあり遺濠尚存す古昔某氏の居りし所なるや詳ならず」と記されている。このあたりの矛盾があるものの、その規模や位置関係から見てこの記述の城跡が同一のものであることは間違いは無いものと思われる。　また、文永6年（1269年）に仙覚律師が「万葉集註釈」を著した際の奥付に「武蔵国比企郡北方麻師宇郷政所註之御了」とあり、「武蔵国郡村誌」において、当地である増尾村（ましおむら）が推定されている。このことにより、昭和3年4月（1928年）に「新墾の道をひらきし功とわに　麻師宇の郷の名はとこしえに」（　佐木信綱／作　）の歌が刻まれたを顕彰する石碑が建立され、文学碑の所在地としての方が有名である。　またこの地名は同誌によれば「麻師宇郷⇒猿尾⇒増尾（現在はますおと呼ばれている）」と変遷したとしている。さらに、文明6年（1474年）の太田道潅の書状に「上田上野介在郷の地、小河に一宿仕り候ところ」と記されており、梅沢氏は「中世北武蔵の城」の著書において、1980年の発掘調査の成果とあわせて、これを中城の地であろうと推定している。
確認できる遺構	土塁、空掘
構造的特徴および周辺の地理的特徴	八幡台と呼ばれる台地の先端部分を利用していることから、当時においては平地部分との比高の違いにより、西側を除いてある程度周辺部の見通しが利いたはずである。鎌倉街道上道からは南西に3kmほど離れた位置にありハイキングコース官の倉山の下山コースにもあたるため、西に官の倉丘陵、北に甲川、南に槻側を擁する地理関係にある。なお、国道254線の旧道が北側300メートルを走っている。
参考資料、古文書、記録	「新編埼玉県史　通史編２」　(埼玉県/1988編集発行)　「小川町の歴史　通史編上巻」(小川町/2003編集発行) 　「小川町の歴史　資料編2古代・中世1」(小川町/1999編集発行)読下し文・解説付で非常に親切です「新編埼玉県史　資料編中世3記録1」(埼玉県/1985編集発行)　「新編埼玉県史　資料編中世4記録1」(埼玉県/1986編集発行)
文化財指定	1961/09/01埼玉県旧跡指定（多分に仙覚律師の関係で）
訪城年月日	2004/09/23
訪城の記録	<<2004/09/23>>　腰越城と小川町にある「中城」(なかじょう)は、前回は場所がよく分からず、かつ、お彼岸の法事の関係で時間もなく訪城できませんでした。従って、今回は事前の道路と方向と距離に関する下調べを入念に行い、一回で迷うことなく辿り着けたという訳です。家内の実家から歩いても、僅か15分足らずという距離でありながら、家内はこの城跡のことを全然知らないらしい.........地元の人間というものは案外そんなものなのかも.......腰越城でさえ、知ってはいるけども、一度も行ったことは無いというのだから(^^; 　北側の内側の土塁の高さは内側から見ても最大3ｍ近くあり、外側の土塁に至っては自然の地形を利用していることもあり8メートルぐらいはありそうです。また、西側の小口の両側の空堀も深さ3ｍ位のところもあり、全体として予想外になかなかダイナミックで感動しました。全体として北側・西側の保存状態が良いようで、城域は少なくても1万㎡以上あります。単郭ではありますが規模の大きな折のある二重土塁になっており、郭の中央部分がテニスコートになっていることさえ気にしなければ、予想外に遺構の状態が良いのに驚かされます。北側の小口は坂小口となって意外に急な斜面ですので、また転ぶのではと用心したくらいでした(^^;その反面保存整備という点についてはあまり積極的に行われているようには見えませんでしたが、住宅地の中なので余り整備されすぎて都市公園のようになってもどうかと思うので.........(^^)
	沼から向かって右側の部分は杉の伐採が行われていたので、すぐにそれと分かる光景である。　<<2004/09/23　撮影　曇り>>
交通アクセス	一見して割烹旅館風の町立図書館からの道から来ると、以前にはあったらしい案内標識も見つからず、この方面から見ると確かに完全に住宅地の中にあるので、非常に分かりにくい状況です。むしろ徒歩にしても車の場合でも、旧国道254線方面からは小川町の駅入り口の信号から数えて約300mの所にある3つ目の信号を左折し、道が2つに分かれたら左の道を行くルートが多分一番分かりやすいと思います。「陣屋沼緑地」という池沼のある公園を目指すのがポイントです.........2台分しかないけども一応駐車場もあるし。池沼の向こう側の比高にして10ｍ以上はありそうな小高い平坦な丘が目指す中城です。東武東上線小川町駅より徒歩12分。

<<2004/撮影>>

	2台くらいしか駐車できない駐車場から撮影。手前の沼が陣屋沼で、正面の杉木立の中に土塁が見える。
	坂小口のあたりで、実際にはもっと急傾斜になっているが、今回は用心して転ばなかった(^^)
	右側が北側の土塁で、左側が西側の土塁。このあたりの土塁は内側でも3メートルくらいの高さを有する部分が残されている。
	北側の食い違い小口といわれている部分だが、折になっているので少し分かりにくい。
	西側の小口付近の空堀。現物はもっとダイナミックな感じなのですが.......。
	北側の土塁。このあたりの高さは人の背丈より低い。
	説明版。「仙覚律師遺跡」とあり、文学遺跡であることが記され、最後の方に2行だけ城跡であることが付け足されている........少し寂しい(^^;
	腰郭・帯郭ではなく、北側の坂小口の途中から見た空堀で2枚前の空掘がここに繋がっていることになっているが.........。

　

　

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