日本名 |
藪萱草(ヤブカンゾウ)
⇒「藪」のような場所に生育する萱草であることから呼称されたともいうが、むしろノカンゾウに比べると人家に近いか環境で生育していることが多い。 |
科/属 |
ワスレグサ科ワスレグサ属(※APG分類による、従来の分類ではユリ科) |
学名 |
Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel
(※「筑波実験植物園/植物図鑑」より引用しました)
学名のヘメロカリスはギリシャ語で「一日の美しさ」を意味し、一日花である性質に由来している。 |
開花時期 |
7月から8月(ただし関東南部では6月下旬から開花している) |
特徴など |
牧野富太郎博士の説などによれば、中国原産の本萱草(ホンカンゾウ)にを母種とする萱草(カンゾウ)の変種のひとつとも考えられているが他に異説もあるらしい。
野原や河川の堤、林の縁などやや水分の多い環境で群落を形成する多年草で、葉の間から1メートルほどの長い花茎を伸ばし、野萱草(ノカンゾウ)よりもひと回りほど大きな花径約10センチメートルほどの濃いオレンジ色で八重咲きの一日花をつける。
有史以前に中国から薬草或いは食用として渡来したとも伝わり、わが国では古くから人里に生育し「万葉集」にも「萱草」(忘れ草、梁代の「文選」によれば「憂いを忘れるの意」とされている)として和歌に詠まれているが、元々が野生植物なのか或いは栽培植物なのか不明であるともいわれている。
なお、古名では「わすれ草」(萱草)とされ、「万葉集」には、
萱草 わが紐につく 香久山の ありにし里を 忘れむがため
(大伴旅人 望郷の想いを詠んだ歌 万葉集巻三・334)などほか3首が収められてている。
このほかにも、
わすれ草 わが身に つまむと思いしは 人の心に おふるなりけり と、小野小町の歌にも詠まれ、「今昔物語」の兄弟の説話にも登場し、近世には「本草図説」にも収録されている。
3倍体であることから種子は形成されず、その代わりに地下の塊根からの走出枝や分球により増殖し、雄しべ、雌しべは花弁状となり形態上も受粉することはできない構造となっている。
若芽は山菜として食することができ、昔から酢味噌和えなどに用いられ、同属にはゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、「ユウスゲ」(キスゲ)、エゾキスゲ、ノカンゾウなどがある。
(※「筑波実験植物園/植物図鑑」「野草大百科」(1992/北隆館)などより)
※参考にした図鑑類
「散歩で見かける四季の花」(2013/日本文芸社)
「花と木の名前1200がよくわかる図鑑」(2005/主婦と生活社)
「散歩で見かける野の花・野草」(2013/日本文芸社)
「散歩で見かける草花・雑草図鑑」(2011/三省堂書店)
「最新版 雑草・野草のくらしがわかる図鑑」(2014/秀和システム)
「野草・雑草の事典530種」(2014/西東社)
「四季の野の花図鑑」(2008/技術評論社)
「散歩でよく見る花図鑑」(2015/家の光協会)
「身近な野草・雑草」(2010/主婦の友社)
「雑草や野草がよーくわかる本」(2006/秀和システム)
「野草図鑑」(2014/ナツメ社)
「雑草手帳」(2014/東京書籍)
「花と葉で見わける野草」(2010/小学館)
「身近な野の花のふしぎ」(2010/ソフトバンク・クリエイティブ)
「雑草のよび名事典」(2012/世界文化社)
「散歩の花図鑑」(2015/新星出版社)
「だれでも花の名前がわかる本」(2015/講談社)
「季節の花図鑑」(2004/日本文芸社)
「花色でひける野草・雑草観察図鑑」(2005/成美堂出版
「季節の野草・山草図鑑」(2005/日本文芸社)
「日本の野草・雑草」(2008/成美堂出版)
「山野草の名前1000がよくわかる図鑑」(2010/主婦と生活社)
「増補改訂新版 山渓ハンディ図鑑1野に咲く花」(2013/山と渓谷社)
「野草大百科」(1992/北隆館)※別名、方言、調理法などに詳しい
「里山の植物(2009/NHK出版)」
「野草見分けのポイント図鑑」(2003/講談社)
※参考にさせていただいたサイトなど
「みんなの趣味の園芸」
「みんなの花図鑑」
「花と緑の図鑑」
「植物園にようこそ!」
「筑波実験植物園/植物図鑑」 |
別名
俗名
方言 |
別名を「鬼萱草」(オニカンゾウ)、「萱草」(ワスレグサ)、「忘れ草」(ワスレグサ)、「忘憂」(ボウユウ)「忘憂草」(ボウユウグサ?)「無憂草」(ムユウソウ?)ともいう。
方言には「アマナ」「オヒナクサ」「オンナテテッコ」「カッコナ」「カンズグサ」「カンノンソウ」「カンピョウ」「ジイジンバナ」「ノユリ」「ピイピイグサ」(草笛にもなる)などの呼び名があるという。 |