史跡保全

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アクセスありがとうございます。　　このページは史跡の保全について私見を述べたものです。　ご意見をいただければ幸いです。

史跡保全

　史跡の保全を困難にしている要因の一つに相続税問題があります。

相続税の評価方式の問題
　近年において史跡を含む「○○の森保存」などの平地林や里山の景観を擁護していこうとする動きがあります。その景観や環境保全の確実な方法の一つとして、公的機関・公益法人・NPOなどによる土地の買収という方法がありますが、遺憾ながら昨今の経済情勢の中ではその動きは活発であるとは言いがたい状況です。
　現行の相続に伴う相続税の評価方式は、山林の場合においては地方税である固定資産税などとは異なり、宅地に比準した価格として算定されています。あくまでも一応の目安としての金額ですが、具体的に固定資産税の場合において現状が平地林であれば税負担は1000㎡当たり年間1000円から高くても2000円程度のはずです。ところが国税としての相続税の場合には、あくまでも条件によってかなり異なることとなりますが、通常固定資産評価額の200倍とか300倍の倍率を乗じて算定されています。
　このため、相続税としての評価額は1000㎡当たり1000万円を超えることとなり、農地などの場合と異なり納税の猶予制度を受けられないために、結果的に累進課税である相続税の相続人税負担を重くし、転売や用途変更の大きな誘因となっていることは以前から指摘されているところです。
相続のために転売・転用.....廃棄物の保管場所に
　もちろん同じ財産税とはいっても継続的な資産の使用収益に対して満遍なく賦課する固定資産税と、富裕税としての性格を有する財産相続に伴う相続税は税としての意義・目的が異なるので、単純な比較はできません。
　しかし、結果的に相続税支払いのために売却の対象になるのは、通常売却の条件等が厳しい田畑を除く農地法の適用を受けない農地以外の山林、雑種地ということになります。中世城郭の遺構の場合既に近世以降に開墾されて農地となっているところも少なくありません。また詳しく調査してはおりませんが現況地目が山林・雑種地となっている場合も多いのではないかと考えられます。一方、木材の産出が本来の役割となるような山奥の山林の場合、または現況が崖地や傾斜地であったり起伏が多かったりする山林では、一般に相続税の評価額は相当に低下します。しかし逆にその土地が有する利潤を生み出す経済的な要素が低いために、収益性を求める必要性から廃棄物の埋め立て地となってしまったような事例も多いと聞いています。また、首都近郊の市街化調整区域の平地林の場合であれば宅地転用は原則として厳しい条件が付されていますが、資材置場・駐車場・廃棄物の保管地などに転用することは容易なのでこうした事例も多いようです。この点については里山の環境保全についても同様のことがいえるはずです。
　国の史跡の指定を受けている場合には史跡自体は法律で保護されているために、現状変更・転売は厳しく制限されていますが、反面において所有者としての財産権は保護されていないも同様のために、相続の発生した場合や生計を維持するために他の平地林などを転用・売却することとなるというわけです。
解決の方向は
　こうした問題を直接的に解決するには第一に相続税法あるいは関連基本通達等を改め、山林・雑種地の評価方法の見直し、納税猶予制度の見直しをはかるということは言うまでもないことです。また同時に必要とされる所有者の維持管理の経費を公的に継続負担するといったような法律制度を確立しなければその保全は困難であるといえましょう。

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