奈良梨陣屋

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	奈良梨陣屋
関連ページのリンク	2004/11/29の日記
所在地	埼玉県比企郡小川町奈良梨929-1ほか
歴史と沿革	奈良梨は鎌倉街道上道の宿駅として後北条氏の時代には伝馬がおかれ交通の要所であった。天正18年（1590年）の後北条氏滅亡後、徳川氏が関東に入府し鎌倉街道沿いに有力家臣を配置した。その一人が信州諏訪の名族諏訪小太郎頼水であり、この奈良梨の地に1万石（12000石とも）で陣屋を構えたとされている。　諏訪氏は信濃の諏訪神社の大祝で、鎌倉期には北条氏の御内人となった。しかし、頼重の代に武田信玄に滅ぼされ一時断絶したが、頼重の叔父の子頼忠の代に旧領を回復した。奈良梨の諏訪氏による支配は短く文禄元年（1592年）には上野の惣社へ移封となるまでの僅か2年の間であり、このときに諏訪神社をこの地に勧請したと伝えられている。諏訪氏はその翌年には、27000石で信州諏訪郡高嶋城に移封され、元和4年（1618年）加増により32000石を領しそのまま幕末に至った。また、諏訪氏の有力な旧臣であった千野氏は、そのまま奈良梨の地に土着したとのことである。（「小川町の文化財」より）
確認できる遺構	土塁、空掘
構造的特徴および周辺の地理的特徴	鎌倉街道上道が南西1kmほどのところを北西から南東に向けて走る交通の要路にある。東側300ｍのあたりを市野川が南に流れる比企丘陵の中では低地部分にあり見通しは悪い。現状では北側と東側に水田地帯が広がっている。周辺の中世城館としては北西3kmに高見城、南東2kmに越畑城、南西3kmに高谷砦がある。
参考資料、古文書、記録	「新編埼玉県史　通史編２」　(埼玉県/1988編集発行)　「小川町の歴史　通史編上巻」(小川町/2003編集発行) 「小川町の歴史　資料編2古代・中世1」(小川町/1999編集発行)読下し文・解説付で非常に親切小川町の文化財（小川町教育委員会/2001年編集発行）
文化財指定	小川町指定史跡　1996年4月19日指定
訪城年月日	2004/11/29

訪城の記録

<<2004/11/14>>
■体調に異変が．．．
　さて、ゆっくりと小倉城を見て回ったもので1時30分に車の所へ戻り、もともと予定していた小川町の奈良梨陣屋へ。本当は時間があれば青山城、高見城あたりにもとは思ったものの、二日前からの風邪のために体力が回復せず、小倉城のちょっとした登りでも息が上がって．．．．この時はそのあとの体調がガタガタになるとは全く気づかず。それでも時間と体力に照らして計画変更したのは、まだ賢明だった。
■遺構の状態は思いのほか素晴しい
　車で20分少々で迷うことなく奈良梨陣屋のある八和田神社に到着。いちおう準地元なもので。神社の境内の裏側にある土塁と空堀が意外に良い状態であること確認。あまり期待をしていない所で思いのほかの遺構に対面すると実に嬉しいものです。土塁は北側の部分で内外とも高さ2ｍの部分もあり、延長約50ｍ。東側の土塁は空堀を伴い土塁自体は途中で消滅するも、空堀は農業用水に繋がる所まで約80ｍ、幅2間、深さ土塁側の部分で3ｍ、平行している農道側で1ｍ。西側にも僅かなど塁が残されていますが10ｍも行かないうちに消滅。
　なお、「小川町史」の376ページによればこの奈良梨陣屋の北200ｍ程の地点にこの陣屋とは別の土塁跡が存在するとのことであり、諏訪氏との関係を示唆していますが、今回の訪城では完全に見落としました(^^;
■俄か信者
　神社に関する本を読んだばかりなので、一応例に倣って、①鳥居を潜る時やや身をかがめ、②参道の端を静かに進み．．．③賽銭を入れ鈴を鳴らし、④二礼二拍手一礼で参拝。うむ、こうするとやっぱり心が洗われる気に．．．．。最近、神社とお寺に遭遇することが多く、小さな祠を別にしても20ヶ所以上も。そこでひとつ気がついたことが。どうもお寺よりも神社のほうが心がしっくりくるような気が．．．．その理由は、たぶん神社は静寂でほとんど人気がないことと、それと何よりも城館遺構があまり破壊されずにいることなのかも知れない。神社の場合にはまず墓地はありませんから．．．．(^^)
　奈良梨からの帰り道、時間はすでに午後2時20分。一頃と比べ太陽の傾きがずいぶんと早く、晩秋の日差しは行過ぎる田園風景を黄金色に染め、晩秋から初冬へと季節は巡っていく．．．

　北側部分の土塁を東側から撮影したもので、幅約3ｍ、高さは1.5ｍから2ｍ前後はあり、思いのほかの状態のよさに少し驚く。現在砂利道となっている部分あたりに堀があったのだろうか。あるいは現在農業用水となっている道路の反対側の幅1間ほどの溝がそうだったのかは不明だが。
　<<2004/11/29　撮影　晴>>

交通アクセス

<<2004/11/29　撮影>>

(左)信州の名族諏訪氏の陣屋だったので当然といえば当然だが、この奈良梨陣屋のあとに所在する八和田神社は御柱の奇祭で有名な諏訪神社を勧請したものらしい。
(右)楓の色づきが良かったので、何枚も撮影してしまった。右手の楓の左側に、ご神木の大杉が見える。また、社務所は現代的な新しいきれいなトイレつきの集会施設となっていた。

(左)八和田神社のご神木の大杉（説明版左側の注連縄が張られいてる方）　1978/03/17小川町天然記念物指定。直径はたぶん約2ｍぐらい、高さ30ｍで台風により上部が損壊したとのことでやや形が崩れているが、まだ元気そうな印象がした。小川町にはこれ以外にも10本以上の大木・古木が天然記念物に指定されているらしい。
(右)神社の境内裏から見た北側の土塁。北側の土塁の高さ自体は内外とも同じくらいである。

　両方とも角度を変えて北側の土塁を西側から撮影したもの。　

　東側の土塁に沿った約80ｍに及ぶ空堀跡で北東の角あたりから撮影。（自分の歩幅による測定ですので大雑把ですが）説明版のある場所の土塁は全体の中でも最も高く、堀底から見ると本来の高さに加えて約3ｍの高さになります。農道沿いの方の堀の深さは約1ｍ。説明版によると試掘による出土した遺物からは年代を推定できる材料は無いとのこと。しかしおそらく他の遺構と比較して戦国時代から江戸初期にかけてつくられもので、堀の断面は薬研堀となっているということなどが書かれている。「小川町史」（1999年刊行）には一時諏訪氏の陣屋であったことなどが記されているが、この説明版には記載されていない。

　左側の写真に写っている農道は幅員が5ｍ位あるので、後世の農道の整備拡張の際に空堀の一部が埋め立てられているような気もする。右側は反対の南側から見た空堀跡で、この手前にある幅2ｍ程度のコンクリート製の簡単な橋の先からは水田のための農業用水となっている。したがって、遺されている空堀もその全てが当時の遺構ではないらしい。

　両方とも北東の角から北側の土塁を撮影したもの。

　左側は古い社務所のような建物の裏側にある北側の土塁を撮影したもの。右側はかろうじて遺されている西側の土塁で南に向かい延長15メートルほどでほぼ消滅している。境内には慰霊碑などもあり、それらの建立の際に削られたのかもしれない。

　

　画像をクリックすると拡大しますが、最近神社のことが気になりだし単にその風景を撮影しただけです。

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