小室陣屋　水野屋敷　中世城館　城跡　城址　埼玉　武蔵

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	小室陣屋（水野屋敷）
関連ページのリンク	200/01/22の日記
所在地	埼玉県川越市小室蔵塚４９５
歴史と沿革	■「新編武蔵風土記稿」小室村の条の記述によれば、この館跡にかかわりのある人物は後北条家重臣「大道寺政繁」、三河以来の譜代、家康の母於大の方生家水野氏の「水野多宮守重」と、旗本の「三枝土佐守守重」ということのようである。　しかし、水野氏については寺の伝承として法心寺中興の祖とされているのみで詳細は不明であると共に、水野氏の系図上などでは水野忠守の次男は「重守」とされているようである。水野多宮守重（重守）という人物像の詳細、かつ「新編武蔵風土記稿」（雄山閣）の誤植なのか、編纂の段階で三枝土佐守の名と勘違いしたのかも不詳である。 ■家康の関東入国後は三枝土佐守が知行する所となったとのことであるが三枝土佐守守重はこの時点でいまだ出生していないので、その父守吉が知行を受けていたのか、あるいは水野氏が知行を受けていたのかということが問題となる。しかし「水野屋敷跡」との伝承が残っていたことから考えれば家康入国後一定期間は水野氏に関係する一族が居を構えていたことになるのであろう。　土佐守守重（守恵）は通称を宗四郎という。三枝氏は甲斐武田の旧臣で武田氏滅亡後、父守吉の代から家康に仕えた。大阪夏の陣に従軍し秀忠の信頼厚く、家光にも仕え相次ぐ加増の結果最終的に6000石の知行を得たが、慶安４年家光の死去に殉じた。　なお、「武蔵田園簿」の記述によれば小室村２０３石は全て三枝土佐守の所領であり、また守重は埼玉県日高市女影の長松寺の開基とされ、所在する三枝一族の墓所は市の史跡となっている。
確認できる遺構	無？
構造的特徴および周辺の地理的特徴	■「新編武蔵風土記稿」の記述によれば「水野屋敷跡　法心寺の地続きにして南の方なり、今は陸田となる」とされるが、法心寺の南側は現在ＪＲ川越線の線路がありその南側は完全に市街地を形成している。また、「埼玉の中世城館跡」などでは法心寺の西側にマーキングしているが、ここも現在は概ね住宅地となっている。　その中で僅かに「それらしい景観」と思われるのが、下記の２枚の画像である。
参考資料、古文書、記録	「中世北武蔵の城」（梅沢太久夫　著　2003/岩田書院刊) 「川越市史　中世編」（1985年/川越市編集発行）「埼玉県史　通史編２中世」（1988年/埼玉県編集発行）「埼玉県史　資料編中世4記録2」(1986年/埼玉県編集発行) 「日高町史　文化財編」（1990年/日高市教育委員会編集・日高市発行）「川越市研究①」（1984年/川越市編集・発行）
文化財指定	無
訪城年月日	200/01/22

訪城の記録

（　2005/01/22　）
■旗本水野氏の陣屋跡
　徳川氏の旗本水野多宮守重の陣屋跡と伝えられており、所在地はＪＲ川越線の西川越の駅に近い法心寺の西側付近であるということです。周辺をうろうろと歩き回ってみましたが農業用水の水路以外にはこれといった遺構を認めることができませんでした。
　また、法心寺境内にある駐車場の西側のＪＲ川越線の線路沿いに、僅かになんとなくそれらしい雰囲気のものがあるのですが実際の所よく分かりませんでした。
　そんなわけでどうにも仕方がないので、秩父の山並みの写真を撮影したりして時間をつぶしていました(^^;

■大道寺氏の館のような気も
　家康関東入国の折、各所に配置された徳川氏旗本の陣屋は新たにこれを設けるというよりも、支配者の政権交代という折柄の政情不安の下、帰農した後北条家の家臣、在地領主が多い中のことです。いたずらに被支配者であるそうした村人の負担を増やすのは得策ではないと考えられ、「多門氏館」「鶴馬城」（何れも埼玉県富士見市）「大穴城」「大法寺館」（同坂戸市）などの他の事例から見ても既存の後北条氏時代の館跡などを活用することも多かったのではないかと思います。
　この地域は河越城代を務めた大道氏関係の一族の居館であったのではないかとも考えますが、具体的な根拠は殆どなく、「所領役帳」に小室村56貫112文を河越城代大道寺政繁が知行していたとされていることぐらいです。

Ｂｅｓｔ　Ｓｈｏｔ？

　以前はこちらの山門から参詣者が出入りしたようですが、山門の左手に参詣者用の駐車場が広がっていて取り残されたような存在となっています。
　遺構らしき存在は、さらにその駐車場の奥のほうにありますが。
　(　2005/01/22　撮影　晴　)

交通アクセス

・ＪＲ川越線西川越駅より徒歩５分、曹洞宗法心寺境内の西側付近。MapFan Web の案内図です　

（　2005/01/22　撮影　）

■ここを訪れた同好の諸氏方々が首を捻る土塁・空堀跡？
　確かに手前のほうはいくらか溝状のものを見ることができ、その奥に30cmほどの僅かな土塁のような高まりを確認することはできるのですが。
　溝については竹木の繁殖を抑える根切の為のものかもしれないし。

■角度を変えて観察しても結果は同じことですが、手前はかなり広い駐車場になっており、現在は山門を潜ることなく境内に入れます。
　以前の状態が同であったかを知る由もありませんが、現在よりはもう少し遺構らしいものが存在したのかもしれません。

■暫く周辺を怪しまれない程度に徘徊してみましたが、水田の用水路以外のものは見出されず、あまりにも奥秩父の山々がよく眺望できたので記念撮影を(^^;
　多分正面の一番高い所が、東京都の最高峰雲取山方面のはずです。

■一方こちらは先ほどよりも北寄りの武甲山、大持山、小持山を始めとする秩父の山並み。
　武甲山は一度石灰岩の採掘に寄り三角形の山頂の形態が大きく変わってしまった。しかし、その後の採掘によって見る角度次第で、また三角形の形状が戻っているように見えますが、標高にして41ｍ低くなっているとのことです。
　山頂まで登ったのは確か２回ほどで、もう３５年以上も前のことになってしまいました。


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