( 2017/05/04 )
■長らく垣通(カキドオシ)と混同
画像は東京都文京区に所在している「小石川植物園」の薬草園の片隅の木陰あたりで撮影したものです。薬草としては管理されてはいませんでしたが、薬草の一種であることもあり、周辺で咲き乱れていた薬草でもあるクサノオウとともに薬草園の風景に馴染んでおりました。
キランソウそのものについてはそれほど珍しい存在ではなく、実際に以前から何度も目にしていたのですが、実のところ数年前くらいまで、同じシソ科のカキドオシあるいはその変種のようなものなどと混同していたようです。どちらかというとこの両者ともにやや薄暗い感じのする林縁や林床などにひっそうり生育していることが多いこともあり漠然と誤解をしておりました。
少し観察をすれば花被の様子についても、本種は上唇がほとんど無く、3枚に裂ける下唇の真ん中が花被の先端で横に広がり、虫媒花特有のマーク(花粉を媒介する虫に花蜜の所在を示す役割とも)は線状であることなどの点でも明らかに異なります。また、葉や茎が多少毛羽立っているものの葉の形も異なっています。このように「カキドオシ」と混同していただけに正しく文字通り「恥のカキドオシ」なのでありました。
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