( 2014/09/08 )
■茶の花は晩秋が味わい深く
晩秋の頃に近所の茶畑を訪れてみると、直径1センチメートルほどの茶色い茶の実がたくさん落ちているのを見かけます。
ふじみ野市は所謂狭山茶栽培の北限に位置し、かつては茶業農家の茶畑を市内(2005年当時までは大井町、1970年当時までは大井村)のあちこちに見ることができ、畑の境にはその目印代わりや風除けなどとして「畦畔茶」(けいはんちゃ)の姿さえもごく普通の光景として見受けられたものです。
しかしその後の急速な宅地開発や工場の進出によって農地、平地林の姿は大きく変容を遂げ、適正に栽培されている茶畑の姿自体もたいへん貴重な存在となってしまいました。
この画像のなかば放置されている状態に近いような茶畑についても、1980年代頃まではしっかりと茶摘みなどが行われていて、このような「茶の花」を咲かせているような風景を目にすることはありませんでした。
時代の流れとはいえ都市近郊における製茶業の衰退ともいえるような厳しい現実が存在して、初めてこの味わいのある茶の花を目にすることができるという皮肉めいた風景でもあります。
なおこの茶畑端の方は除草剤散布にもめげず、折々の季節の移ろい告げる野草の楽園ともなっております。
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