( 2010/04−2010/06 )
■定点観測
おそらくこの頃がナガミヒナゲシの最盛期だったと記憶しています。「けやき並木通り」と名付けられた歩道上のケヤキの街路樹の根元にささやかなスペースがあり、2000年前後ころから少しずつ目立ち始め、春から初夏にかけてのこの時期にはナガミヒナゲシとジャーマンカモミールが占有する光景が数年ほど続きいていました。
( 2014/05/10 )
■衰退
一時は歩道の植栽スペースを殆ど占有する勢いが見られたのですが、2011年頃からは次第にその数の減少が見られはじめ、近年では以前ほどは目立たない存在となってきました。かつてはセイタカアワダチソウがそうなったように、ナガミヒナゲシの出すアレロパシー物質が自分自身にも影響して、その生育に適さなくなったのかどうかについては確認できませんが、そういう可能性も考えられなくもないと思いました。
( 2017/05/03 )
■復活と変異
3年前ほど前には、余りその姿を見かけなくなりましたが、この年には少し場所を変えて茶畑の端などで小群落を形成しはじめていました。画像のものは自宅近くのホームセンター脇の道路沿いにポツンと咲いていたもので、いちおう4弁花ではあるのですが、上記画像のように花径約2センチメートルと極めて小型で花弁は開き気味、その花弁自体の幅も狭く、柱頭の筋の数も4本と少ないなどのことから、即座には「ナガミヒナゲシ」であるということが理解できませんでした。しかし花冠部分の特徴、葉の形、茎の様子などを総合すればも紛れもない「ナガミヒナゲシ」で、また5年ほど前からたまに自宅の庭の片隅に小さな一株が顔をのぞかせていた謎の植物の正体も判明しました。ただし自宅では総じてドクダミ、カタバミ、ノビル、ハルジョオン、オニタビラコ、エノキグサなどの野草が優位種となっているため、いまのところ「ナガミヒナゲシ」がこれらにとって代わるというような徴候は全く感じられません。そのことはさておき、このように些細な変異を出現させつつも、その生育環境に順応し種の継承が図るという巧妙かつ頑健な仕組みにあらためて驚かされます。
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