( 2014/03/29 )
■何とこんなところで
震災の関係もあり2009年以来となる約5年ぶりに訪れた福島県でした。県内西郷村の阿武隈川南岸に所在する中世城館柏野館(かしわのたて)東麓崖線付近からわき出たほんの小さな湧水池にて撮影したものです。ひっそりと可愛らしく自生していた水芭蕉の群生でした。福島県中通りの南端でしたが、残念ながら3年を経過した時点でも、その空間放射線は埼玉方面と比べると高めの数値を示しておりました。
撮影した季節は未だに春先でありましたが、その標高の低いことや東側からの暖かな日差しの恩恵を受けて、すこぶる元気に生育しているように見えました。
本来の目的地である柏野館では殆ど道らしい道も無いいに等しく、しかも物凄い薮と棘が繁殖した地形を歩き回ったあとに遭遇したこともあり、喜びもまたひとしおで正に至福の出会いでした。なおこの時はすでに手足ともにハリネズミのごとくノイバラの棘だらけとなっておりましたが、性懲りも無くかつまた些かの躊躇もなくこのあとも阿武隈川対岸の小館山館(こたてやまたて)へとその歩みをすすめていったのであります。
( 2015/04/27 )
■標高約1000メートルの群生地
けっして尾瀬ヶ原のように大規模で著名な生息地ではありませんが、裏磐梯檜原湖周辺の湿原にはこうした小規模な水芭蕉の群生が複数個所見かけられました。訪れたのが4月末とはいえ、標高1000メートル前後の雪深い地ではまだまだこれから花の盛りを迎えようとしておりました。
なお檜原湖などの湖は明治中期における磐梯山の噴火により当時の河川を堰きとめらて出現したものなのですが、こうした湿原がそれ以前の時代から今のような形態で存在していたのかどうかについては不勉強のため分かりかねますので悪しからずご了承ください。
標高1500メートル以上を有する白布峠越えの西吾妻スカイバレーのルートはこの2015年は4月23日に冬期閉鎖から開通したばかりで、途中の道路上には小規模な雪崩跡も見られるような雪深い地帯でした。こうした森林の栄養をたっぷりと含んだ雪解け水を水源とする豊富な湧水に育まれた環境に生育する高山植物の美しさと、極寒の地で長く厳しい冬を耐え抜いてきたその生命力にあらためて感動を覚えました。特徴的な「仏炎苞」の白さがことさら目に染みる初夏のような陽気の一日でした。
ミズバショウが好物のツキノワグマが確実に棲息している地域でもあり、その痕跡はあちこちに見られたことからクマ出没要注意です。このため撮影での腹ばい姿勢は躊躇いたしました。
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