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雄花の残滓も見える花期終了直後の鮮やかな紅色の翼果と新しい葉
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この時点での翼果は2つ一組ですが、秋に熟すと真ん中から分かれます
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紫外線から守られた木陰に入ると心が落ち着きます
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撮影場所 東京都文京区 ( 2017年5月4日 撮影 晴れ ) 木立ち

日本名 伊呂波紅葉(イロハモミジ)
⇒掌状に切れ込んだ葉の裂片を数える際に「いろはにほへと」と数えたことから呼称されたというのがほぼ定説となっています。しかし昔の数え方としては「ひい ふう みい よ いつ む なな」などが頭に思い浮かぶのですが・・・
科/属 ムクロジ科カエデ属(※APG分類による、新エングラー分類などではカエデ科に分類)
学名 Acer palmatum Thunb.  (アケル パルマツム)
開花時期 関東南部では開花は4月頃、翼果の形成は5月頃、紅葉は11月頃
特徴など 国内では、本州の福島県以南、四国、九州の山野に自生し、国外では朝鮮半島、中国の山東省から浙江省にわたる東部と長江(揚子江)流域に分布する落葉樹で、その樹高は10mから15mの高木になります。
野生種は陽当りのよい湿り気のある沢筋や斜面などに生育していますが、庭木や公園樹などとしても植樹され、いわゆるモミジの代表格として親しまれています。
花は新しい枝先に複散房花序の形態をとり、花径4mmから6mmほどの暗赤色で概ね下向きにつきます。
花には両性花と雄花があり雌雄同株(しゆうどうしゅ)で、両性花の花期の終わりには竹とんぼにも似た2枚一組の翼果(よくか)が結実しますが、夏期を経て薄茶色に変色し秋になると、熟して二分され(痩果(そうか)、果皮が乾燥して種子を取り囲んだもの)風により放散されます。
翼果とは、果皮(子房)の一部が花期の後に大きく成長して竹とんぼ状の形態となることをいい、植物が有する種子散布機能のひとつとされ、タンポポ類の綿毛同様に風を利用してその種子が拡散されていきます。
亜種とされるオオモミジ(ヒロハモミジ)に比べると、その葉の裂片は細めで、大きさもひとまわりほど小さいのが特徴になります。

◎モミジとカエデについて
(1)それぞれの語源
モミジは赤と黄の色をもみだすという動詞が転訛して名詞となったともいわれており、カエデはその葉の形が「カエルの手」に似ていることが「カエルデ」と呼ばれ転訛したともいわれています。
(2)植物分類学上からは両者の区分は無いものとされ、園芸分野の区分としておおまかに葉の切れ込みの深いものをモミジといい、浅いものをカエデというようです。

花言葉には、「調和」、「大切な思い出」、「遠慮」、「自制」、「 謹慎」などがあるようですが、おそらくは花そのものがあまり目立たないことから考え出されたものなのかも知れません。

※参考にした図鑑類
「園芸植物」(1998/山と渓谷社)
「花と木の名前1200がよくわかる図鑑」(2005/主婦と生活社)
「樹木図鑑」(2014/ナツメ社)※カエデ類の葉の違いが詳しい
「樹木ガイドブック」(1997/永岡書店)
「木の名前がわかる事典」(2005/成美堂出版)
「散歩の樹木図鑑」(2014/新星出版社)
「よくわかる樹木大図鑑」(2016/永岡書店)
「樹木図鑑」(2014/成美堂出版)
「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(2007/講談社)※モミジとカエデの区別
「日本の樹木500超!」(2017/栃の葉書房)
「散歩で見かける街路樹・公園樹・庭木図鑑」(2012/三省堂書店)
「園芸植物大事典」(1994/小学館)
「図説植物用語事典」(2001/八坂書房)※翼果について解説有
「植物学の百科事典」(2016/丸善出版)※翼果について解説有

※参考にさせていただいたサイトなど
「植物園にようこそ!」
「筑波実験植物園/植物図鑑」
「松江の花図鑑」※花の画像が詳しい
「かくれみの 木々との語らい」※モミジとカエデの区別が詳しい
別名
俗名
方言
別名「高雄楓」(タカオカエデ)、「紅葉」(モミジ)、「伊呂波楓」(イロハカエデ)、「高雄紅葉」(タカオモミジ)、「小葉紅葉」(コハモミジ)などともいいます。
なお、タカオモミジのタカオは京都の高雄であり東京の高尾山のことではありません。

観察の記録

( 2017/05/04 )
5月のモミジ
 画像は都内文京区の「小石川植物園」で撮影したものです。訪れたのは5月の上旬でしたので既に花期は終わりを告げ、僅かに雄花の一部を観察できたに留まりましたが、その代わりに鮮やかな色合いした「翼果」(よくか)を数多く目にすることができました。このままの形で飛ぶと正にドラえもんのタケコプターになりますが、残念ながら風に乗って飛ぶときには半分ずつに分かれて飛んでゆくということです。
 イロハモミジは「紅葉」(モミジ)の代表のような存在ですが、この翼果と新緑の季節もまた清々しさにを感じます。おりしもこの日は雲一つない快晴のため、園内を訪れた人々に照り付ける陽光と紫外線から逃れるには絶好の木陰を提供していました。なお都内での生育環境からは、おそらく紅葉は11月中旬あたり、花期は4月中旬頃の観察が相応しいものと思われます。


・2017/06/04 HP作成


イロハモミジ


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