( 2017/05/04 )
■デコラの思い出
文京区にある「小石川植物園」の標本園で撮影したものですが、学名の形容詞であるデコラにはいろいろな思い出があります。60年ほど前になりますが、小学校の同級生にその父親がメラミン系合成樹脂を製造販売していた会社に勤めていた関係で、メラミン樹脂の販促用サンプルを持っていた子がいました。その色合いはパステルカラーに近く、大理石にも似た模様をともなうもので十数種類ほどが一つにまとめられた色見本のようなものであったと記憶しています。その当時の小学生にとっては、その色合いと質感が非日常的であまりに美しく特別なものに見えたらしく、一時はクラス中の関心の的になっていました。もっともこのあとそうした珍しいものを教室内にもとこむことが際限なく流行りはじめてしまい、終いには学校には授業に関係しないものは持ち込まないように指導されたという記憶もあります。
その後デコラは高度経済成長の波に乗り、家庭用や店舗用などのテーブルの天板として多用されるようにもなり、自宅でも1960年代の中頃からは緑色をした大理石模様の天板が用いられた食卓が置かれるようになりました。なおこのテーブルは、時には臨時の卓球台にも変貌するという優れものでした。
さらに時は流れ1970年代頃になると、その軽さと耐久性から住宅建設などの資材として建材用の合板などにも重用されるようになり、いささか当時の自分の仕事にも関係が発生したりと意外な繋がりのあったことを思い出さずにはいられません。
さて、その合成樹脂のデコラですが、これはあくまでも「Decorative Laminated」から「Deco」と「La」を抜き出して合成した「造語」であるそうです。(一部「住友ベークライト社史」を参考にしました)
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